人気商売である芸能界で、ずっと第一線にいる芸能人はどこが違うのか。お笑いコンビ・アンジャッシュの児嶋一哉さんは「若手の頃、事務所の社長には『テレビなんか出なくていい。使われるものじゃなくて利用するものだ』と言われていた。当時は共感できなかったが、歳を重ねて意味がわかってきた」という——。

※本稿は、児嶋一哉『俺の本だよ!!』(世界文化社)の一部を再編集したものです。

「売れない」と思われていたダンディ坂野

皆さんにもおなじみかも知れないが、ダンディ坂野という後輩がいる。僕がスクールJCA(人力舎のお笑い養成所)の1期生で、ダンディは2期生。でも、彼のほうが5歳年上だった。

ちょっとずれた人で、最初、「ラブリン」というコンビを結成して僕らみたいなコントをやりたがっていたが、案の定キャラに合っておらず、その頃は申し訳ないけれど、僕も「売れないだろう」と思っていた。

ところが、そんなダンディが一番早く、スクールの中で売れた。めちゃくちゃ売れた。

あの『ゲッツ!』というくだらないジョークを言うような芸風を見つけ、ブレイクしたのだ。あの時、きっと僕らみたいなコントをやっていても売れなかっただろうし、漫才をやったところで厳しかっただろう。