上の世代が遠回りして理解したことを実践している第7世代

今でこそ同世代のコンビ同士は仲がいいが、昔からそうだったわけではない。かつてはライバル意識が強く、特に現場などではお互いピリピリしていた。

昔の映像を見ると、横で誰かが面白いことをやっていたとしても、誰ひとりとして笑っていない。

20年前ぐらいにやっていた『GAHAHAキング爆笑王決定戦』という番組などは、その典型的な例だ。地獄のような番組だった。今なら

「オイ、つまんねーぞ」

「くそぉ、おもしれーな!」

くらいのガヤやツッコミを入れるのは当然だが、当時はみんな、絶対そんなことするもんか! くらいの勢いで構えていた。他のコンビのことを「面白い」なんて認めたくなかったし、悔しすぎて笑えなかったのだ。

それに比べて、今の第7世代などは、昔の僕らのことを誰かから聞いているのか、空気を悪くすることがいかによくないか、無意味なことかということを既に悟っている。みんな素直だし、助け合って楽しくやらなきゃ! という意識も強い。その上、それぞれのカラーも際立っているから、必然的に笑いのクオリティも高くなる。

僕らが遠回りして、何年もかかってわかったことを、既に実践しているのが、第7世代の強みだと思う。

「◯◯さんならどう言うかな」を考えても仕方ない

若手の頃は、常に誰かに嫉妬したり、劣等感を抱いたり……ずいぶん悩んだものだが、最近ようやく「そんなことを考えていても仕方ないな」と思えるようになってきた。すごすぎる先輩方の真似をしてもしょうがないし、意識すればするほど余計おかしなことになってくるからだ。

児嶋 一哉さん
撮影=TOWA

僕も、何年もかけてやっと「人は人。“自分っぽさ”でいかないとな」という境地に達した。それ以来、「自分らしさ」というものをとにかく考えるようにしている。うまくいかないとき、つまずいたときも、

「俺っぽいのって何だろう?」
「俺だったらどう答えるかな」

というふうに、客観的に考えられるようになったと思う。

以前なら、

「松本(人志)さんだったらどう言うかな」

とか、いちいち憧れてる人に置き換えてしまっていたが、言葉にその人の「人間味」が乗らないことには絶対に響かないから。

ただ、嫉妬心はパワーになる場合もある。

「ああなりたい」
「追い越したい」

という気持ちは原動力にも成り得るから、自分を見失わない程度に、時には周りを意識することも必要かもしれない。「周りを意識する自分」と「しない自分」、どちらにもいい部分があり、自分の中で常にせめぎ合っている。

物事は必ず両面があり、それは表裏一体。どう自分の気持ちを整理するかに尽きると思う。