今いくらもらえるか確認できる制度もある
今いくらの権利があるかを確認できる制度もあります。「ポイント制の退職金」や「企業型の確定拠出年金」、あるいは「キャッシュバランスプラン」と呼ばれる確定給付企業年金などがそれです。
このポイント制退職金の場合、累積ポイントが開示されるので、1ポイントあたりいくらになるか確認して計算します。普通は1ポイントあたり1万円なので、1000ポイントあれば1000万円という感じです。
確定拠出年金は社員一人ひとりのIDとパスワードが付与され、自分で運営管理機関のサイトにログインすれば昨日付の時価残高がすぐに分かります。これは一番リアルタイム性がある確認方法です。
キャッシュバランスプランについては、バーチャルな持ち分額について年に一回程度通知することが多く、だいたいこれくらい、というイメージを持つことができるようになっています。
ただし、いずれも「現在の残高」ですから、このまま勤め続けていけば「定年退職時の残高」はもっと増えます。特に若い社員の場合は、40~50歳代で積み上がる分が多いことも考えつつ、チェックしてみてください。
ただし「退職金なし」の会社もあるので要注意
ただし注意すべき点がひとつあります。「退職金なし」の会社もあることです。
厚生労働省の調査では退職金制度の実施率はおおむね80%なので、2割の会社では退職金がありません。一般的には中小企業ほど実施率が低く、大企業ほど実施率は高くなります。また、社歴が長い会社ほど実施率は高くなり、ベンチャーや社歴が浅い会社ほど実施率が低くなります。
退職金制度は実質的には給料の一部を退職時にもらう仕組みです。もし40年働いて1000万円の退職金をもらったとしたら、毎年25万円を給料でもらわず積み立てていたというイメージです(実際には利息などもありますが、ここでは説明を省きます)。
ですから退職金がない会社の場合は、退職金分を毎月の給料に乗っけてもらっていた、ということになります。もしあなたの会社に退職金制度がないなら、iDeCo(個人型確定拠出年金)の加入を急ぎ、すぐに給料の一部を老後のために積み立てすることをオススメします。企業年金のない会社員は年27.6万円が積み立てられますから、退職金と同じくらいの老後準備になる感覚です。