入居者3人に対してスタッフが1人つく全室個室の介護施設
グループホームとは、認知症のお年寄りが共同生活を行う小規模な施設です。特別養護老人ホームや有料老人ホームとは異なり、入居者は5~9人の少人数。入居者3人に対してケアスタッフが1人という形態が一般的です。また、介護保険法により全室個室にすることが定められています。
在宅で認知症の方を介護する場合、家族の負担は大きくなります。24時間365日、徘徊などのいわゆる「問題行動」に対処するのは困難です。怒りや憤りを認知症の老親にぶつけてしまうというケースもよく耳にします。
グループホームのメリットは、スタッフが認知症の方々のペースに合わせたケアを行い、残された力を活かしながら認知症の症状を緩和できること。スタッフと入居者が一緒に買い物に行ったり、料理をつくったり、外出をしたりと、一人一人の症状に見合ったケアが提供されます。例えば、徘徊する入居者に対しては、スタッフが一緒に付き添っていく。そうすることで、症状も落ち着いていくのです。
現在、グループホームは全国に約9500カ所あり、その数は増え続けています。入居後にかかる毎月の費用は地価や物価によって異なりますが、およそ9万~21万円ほど。東京23区では17万円前後からあります。
この値段は一見高いようですが、個室ユニット型の特別養護老人ホームとそれほど変わりません。食事についても、地元の八百屋さんや魚屋さんで新鮮なものを買ってスタッフがつくります。ですから、給食事業者に委託する大規模な介護施設と比べても、かなり良い食材を使って食事を提供されていることが多い。また、入居者の好きなメニューを取り入れることができるのも、グループホームの特徴の1つです。
現在はグループホームの多くが順番待ちの状態です。認知症の症状が出ていれば、症状が進行することも考えて、早い段階で入居を検討し、認知症の方に合ったグループホームに申し込んでおいてもよいかと思います。
施設を選ぶときのポイントは、(1) 職員がいきいきと働いているか、定着率は高いか、(2) 地域の人が遊びに来るか、家族の訪問に制限はないか、(3) ホームの雰囲気は明るく、活気があるか、など。これらのことを参考に4~5カ所の施設を見学してみましょう。また、ショートステイやデイサービスが利用可能なホームもあるので、お試しで利用し、実際に本人に合うかどうか確かめることをお勧めします。ウェブサイト「WAMNET」(http://www.wam.go.jp/)にはグループホームの外部評価情報が掲載されていますので、そこから情報を得ることもできます。
グループホームは第2の「わが家」でもあります。住み慣れた地域にあるので、会社に出勤する前に立ち寄る、孫たちが学校帰りに遊びに行く……。そうした生活スタイルを可能とするのも、グループホームの特徴なのです。