入居の確度を上げるにはコネクションを探すより書類の書き方に工夫を

介護保険サービスの中でも「高齢者の終の棲家」として要望の多い特別養護老人ホーム(以下、特養)。全国に6014の施設があり、入居者は約40万人である(2007年8月現在)。

02年、入居基準が変更され、かつての「先着順」から介護の必要性の度合いによる「優先度順」となったが、「何年待ってもなかなか入居できない」という声は相変わらず多い。現在、待機者の数は入居者数とほぼ同数の約39万人に達するといわれている。

内部職員からも「施設長」のあり方に疑問の声が多数!

内部職員からも「施設長」のあり方に疑問の声が多数!

入居にあたっての優先順位は、「入居判定委員会」の合議によって決定される。委員会は施設長、介護職員、ケアマネジャー、さらには一般市民など施設関係者以外の民営委員で構成され、入居希望者の身体状態やその家族がどのような精神状態なのかなどによって判断することになっている。

大都市ほど入所が難しくなっている特養だが、老老介護(介護をする人自身も高齢者であるという状況)などで本当に困っている人が入居するための“裏技”はないのか。一概には言えないが、入居の確度を上げるための書類の書き方のコツをお教えしよう。

(1) 介護日記を添付する

本人や介護者の状況についての克明な記録を通して、介護する人(主に家族)の日々の大変さを伝える。たとえば、1カ月のなかでどれくらい困難な状況に置かれているのかが記録されていれば、介護する側が心休まる間がないということが伝わる。

(2) 入居を希望する自治体の「評点」のつけ方を研究する

都内のいくつかの自治体では、その基準を資料やホームページ等で公開している。「本人の状況」「介護者の状況」「その他の状況」の3つに分けて記述するというものが大半だ。施設により異なるため、施設の方針や評点のつけ方を前もって調べておく。

たとえば、本人の要介護度、認知症等に伴う問題行動の有無(「本人の状況」)。介護者の有無、いる場合は同居か別居か、同居の介護者の経済状況や年齢、就労状況など(「介護者の状況」)が点数化される。そして最近、特に重要視されているのは、同居の介護者による暴力や無視、抑制があるかどうかなどである。

(3) コネクションを探す

特養は地方の土地持ちが社会福祉法人の資格を得て運営しているところも多い。家族経営による施設などはコネクションが有効なこともある。ただし、そのような施設に無理をして入ったとしても入居後の介護サービスの質が保証されるとは限らないので注意してほしい。

バブル期に制定された「ゴールドプラン」によって緊急整備が進みサービスの質は二の次だった特養。しかし介護施設はスタッフによる献身的なサービスによって成り立っている。入居者が安心して暮らせるよう、事前調査、そして入居後の継続的な監視が欠かせない。

(構成=凛 次郎)