月額定額制の導入で利用頻度が減らされる!?
デイサービス(通所介護)は、特別養護老人ホームや単独に設置されたデイサービスセンターが提供しているサービスで、1人暮らしの高齢者や在宅で引きこもりがちな高齢者が日帰りで利用できる介護サービスである。
デイサービスの1日は、午前9時ごろに自宅に迎えのバスが来て、入浴、食事、レクリエーションなどのひと時を過ごして、午後3時ごろから順次帰宅する、約6~8時間のサービスになっている。この時間は家族も介護から解放されることから、介護サービスのなかでも利用頻度の高いサービスとされている。
一般的には、週に2回から3回の利用回数が多いが、なかには週末を除く毎日の利用者もいる。逆に、週末の利用を希望する家族も多く、年中無休でサービス提供に当たっている事業者も少なくない。
しかし、2006年の介護保険改正後は、デイサービスの内容が大きく2種類に分けられた。要介護度認定で、要支援1、2の判定を受けた利用者は、従来のデイサービスの利用から「介護予防通所介護」へと移行された。要介護状態になることを防ぐことが目的とされ、体力の維持、強化を目指した強化訓練、栄養改善指導などが組み込まれている。利用料も2段階で区別され、従来型のサービス内容部分に関してはこれまでは毎回の利用料を加算して算出していたのが、月額定額制となり要支援1は2万2260円(自己負担額はこの金額の1割、以下同)、要支援2は4万3530円となった。これに運動機能訓練を受けると加算額が月に2250円、栄養改善指導は1000円加算となっている。
利用料は月額制によって抑えられた印象を受ける。しかし、サービス提供者側からすれば、従来の利用料(1回4000円程度)より、1回あたりの金額が低くなるような頻度でのサービス提供は行えないという判断が働く。要支援1、2のデイサービス利用者は、結果的に利用回数がこれまでより少なくなって不自由を感じているケースが少なくない。これも、見方を変えれば「介護難民」の発生事例といえる。
一方、要介護1.5の利用者に関しては、従来型のサービスが提供されているが、利用料はサービス提供を行っている施設の規模、介護度によって設定されている。月の利用者数が300人以上の施設の場合、6~8時間のサービスを利用すると要介護1で11回7176円、要介護5で1万1925円となっている。これに食費が全額自己負担で加算される。単純計算した場合、要介護1の利用者(自己負担718円)が週に2回サービスを利用すると、月8回で総額5744円かかる。食費の実費分(1回650円)を加えると、月額1万944円の負担となる。
このほか、認知症専用通所介護もある。このサービスは地域密着型のサービス項目に入るもので、施設のある市区町村の住民しか利用できない。
最近では、一般の民家を事業者から買い取るか賃貸契約し、アットホームな環境づくりを優先してサービスを提供しているケースもある。他人の目に認知症の肉親を見せることに耐えられない家族の場合でも、こうした小規模のデイサービスを利用して休息を得ることが必要である。