コロナ禍で「坐禅」に救いを求める人が増えている
コロナ禍が長引き、不安やイライラを抱える人が増えている。自分や家族が感染することにたいする不安や、人に会えないことへの孤独感……。平時ならば、スポーツや趣味に興じたり、友人と飲食したりすることでのストレス解消も可能だろうが、それも難しい状況だ。
厚生労働省は2020年末、「新型コロナウイルス感染症に係るメンタルヘルスに関する調査」の結果(調査は昨年の第1派から第2派にかけて)を公表した。「神経過敏に感じた」「そわそわ、落ち着かなくなった」などのメンタルヘルスに異常を感じた人の割合が、半数程度に及んでいることがわかった。
この閉塞感漂う状況にあって、いま「坐禅」に救いを求める人が増えているという。
「コロナ感染症が広がる前には、坐禅は健康にたいする意識が高い女性などが中心で、多くの人にとっては必ずしも必要なものではなかった。しかし、コロナ禍の時代に入り、自粛生活が続くにつれ、坐禅を始めたいとする人が増えてきていると実感しています。坐禅をやりませんか、とSNSで呼びかけると、あっという間に数十人が集まります」
臨済宗大徳寺派願修寺(小田原市)住職の岩山知実さん(35)は、こう明かす。岩山さんはドイツ人の父を持つ、日本禅寺初のハーフの僧侶だ。2016年に臨済宗の専門道場で修行を終えてからは、特に若い人にたいして坐禅の魅力を伝えてきた。坐禅を伝えるターゲットとして、岩山さんが着目したのはビジネスパーソンである。
グーグルも実践「僧侶がオフィスに出張して坐禅」が人気
その手法とは、僧侶のほうからオフィスに出張して実施する坐禅会だ。
「従来の坐禅会では仕事帰りや休日を利用して、お寺に来てもらっていました。しかし、我々のほうから能動的にオフィスに出向くことで、坐禅の裾野がもっと広がるんじゃないかと考えました。オフィスにお坊さんが出入りし、昼休みや休憩時間に会議室などを使って坐禅を教えることができればユニーク。時には、悩み相談をお受けすることがあってもいい。企業の福利厚生としてもアリなんじゃないかとも考えました」
それが「フライングモンク」と名付けた、坐禅プログラムである。コロナ禍前の2019年秋、Googleの東京オフィスから依頼があり、岩山さんたちの活動がスタートした。
Googleは、坐禅に概念が近いマインドフルネスなどをいち早く社員教育などに取り入れた企業として知られる。2015年より社員にたいして、朝晩の瞑想を通じた心のメンテナンスを全面的に支援する制度を設けている。Googleが実施した社員精神分析プロジェクトでは、瞑想は離職率の減少と生産性向上の原動力となることが科学的にも実証されている。