感染症法とコロナ対策の特別措置法の改正案が閣議決定された。改正案では、行政の要請や勧告に従わない事業者や個人に対する罰則を規定する。医師の木村知氏は、「この改正案を成立させてはいけない。感染者に対する差別と分断をいっそう深め、水面下で感染者を増やすだけだ」という——。
マスクを着用した男性が暗い部屋から外を見ている
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医師の立場から法改正の是非を考えてみると…

1月18日、やっと通常国会が始まった。日本全国で新型コロナ感染拡大が止まらぬばかりか変異種の市中感染さえも見られ始めているというのに、あまりにも長すぎる“冬眠”だった。

菅首相は施政方針演説に対する代表質問において、野党による後手後手の対策が現在の感染爆発を引き起こしたとの批判を「根拠なき楽観論に立って対応が遅れたとは考えていない」と全否定した上で、「緊急事態宣言に基づき、強力な対策を講じることで何としても感染拡大を食い止める決意だ」などと答弁、政府による強権的施策を講じる意図さえにおわせた。

国会開会前より、「新型インフルエンザ等対策特別措置法」(特措法)と「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」(感染症法)の一部を改正し、行政の要請や勧告に従わない事業者や個人に対する罰則を規定するとの政府の方針が報道によって明らかにされていたことから、その政府案についてはすでに多くの識者から懸念や意見が出されているが、本稿では医師としての立場も踏まえて、これらの法改正の問題点について論じてみたい。