〈またあの税理士が絡んでるのか〉と気付くことが増えた

税理士が審査部署に目を付けられるまでのくだりは、データベースで怪しい確定申告書を何例も確認した管理者たちが囁いていた見立てにすぎません。けれども確かにある時期から、特定の税理士が作成した確定申告書を証拠書類として提出した申請者には、データベース上でフラグがつけられ、審査がストップしてずっと棚上げ状態にされるようになりました。結果、不正申請者からの進捗問い合わせでデータに当たった管理者が、〈またあの税理士が絡んでるのか〉と気付くことが増えたというわけです。

こうした場合、オペレーターは入電者が要注意申請者になっている事実は決して伝えず、「現在まだ審査中の状態です」と答えることになっています。ところが不正申請者に限って、まさか悪だくみがバレているとも知らず、

「申し込んでから相当時間が経ってるのに、なぜずっと審査中なんだ。理由を説明しろ。納得するまで何時間でもこの電話切らないぞ!」

などとすごんできたりします。でもどう言われようと、オペレーターはこっそり半笑いを浮かべながら、重ねて「申し訳ございません。こちらでは詳しい審査状況まではわかりかねます」と伝えるだけなので、後ろめたさのある相手は結局自分から電話を切るしかないのです。

コールセンターでもはっきり認識されている札付き税理士

よく言葉を交わしていたリーダーによれば、不正受給の主犯なのか共犯なのかまでは確定できませんが、コールセンターでもはっきり認識されている札付き税理士が何人かいるそうです。よく知られている者だけでも、

・大阪のN

全国各地の1000人以上の不正申請者の確定申告書を偽造。依頼者の申請代行も請け負い、持続化給付金事務局と各申請者とのメールのやりとりをすべて自身で一括管理。そうした際に使うアドレスをわざわざ新しく作成し、ふざけたことに、

covid.19.kyufukin+○○○(いくつかの3ケタの数字を使い分ける)@gmail.com

とか、

●●(Nの名字のアルファベット)sensei◎(数字)+△△(数字)@gmail.com

などと設定しているのです。アカウントに新型コロナウイルス感染症の正式名称である「covid-19」を折り込んだり、自身を「先生」と称したりと、相当に悪質な確信犯であることがうかがい知れます。

・九州のK

熊本を中心に、不正申請者の確定申告書偽造を請け負い。過去、税理士法に違反して業務停止処分を受けていた期間中、企業の確定申告書を作成するなどの税理士業務を行ったため、逮捕された前歴があるとのネット情報も。