8月半ばから「申請取り下げ」の連絡が相次ぐように
・東京のA
関東圏から集めた約200人の確定申告書偽造に関与。彼の事務所のホームページでは、野卑な文面とどぎつい色使いで料金の安さばかりが強調されています。
こうした税理士が関与した申請者たちから、8月半ばあたりを境にやたら申請取り下げの連絡が入るようになってきたのです。取り下げの理由を尋ねると、
「友人に、そんな金の助けを借りずに自力で立て直すよう言われ、その通りだと思った」
「給付金は課税対象になると聞いたから」
「金融機関からまとまった融資を受けることができた」
などともっともらしいことを言います。ですが彼らのデータベースには全員、例の要注意フラグが立っていて、さらに過去の入電履歴を調べてみると揃って、「いつになったら給付されるんだ!」と文句を言ってきていたような連中なのです。
おそらく税理士(あるいは仲介者や、さらに背後に控えている黒幕かもしれません)からの指示が出て、自分たちの悪事にたどり着かれる前に申請を引き上げ、足がつかないよう隠蔽工作を始めたのでしょう。
警察にデータを提出する用意はできている
しかし持続化給付金事務局の側は、警察から具体的案件についての情報提供依頼があった場合、把握している限りのデータを提出する用意ができています。コールセンターの管理者やオペレーターにもその名を知られているほど悪質な税理士たちに捜査が及ぶのも、そう遠い先のことではないでしょう。
ただ、税理士が税金を少なくする方向で不正に関与した場合は重い罰則を受けるものの、持続化給付金申請にあたっての確定申告書の偽造は、本来なかった収入をわざわざあったことにしているわけです。その場合は税理士法にある「信用失墜行為の禁止」の違反を問える程度で、数カ月の業務停止処分にしかならない可能性が高いのだとか。
とはいえ卑劣な違法行為をしていたことが広く知られると当然、既存の顧客も離れていってしまいます。つまり彼らは実質的に、決して軽くない罰を受けることになるのです。