固いものを食べるときに、思わず歯をかばってしまうことはないだろうか。歯を支える歯槽骨の新陳代謝の低下と、意外な生活習慣によって、50代になると急激に噛む力が低下するのだという。
歯の土台危機は50代から一気に増加
平成元年から厚生労働省と日本歯科医師会が推奨している8020(ハチ・マル・ニイ・マル)運動を耳にしたことがある人は多いだろう。「80歳になっても20本以上の自分の歯を保とう」という取り組みだが、近年は「残された歯でしっかり噛めるか」も、オーラルケアの重要なテーマとして指摘されている。
歯科医師で宝田歯科院長の宝田恭子先生は「50代から歯の土台危機が始まる」と警鐘を鳴らす。歯の土台とは、歯を支えている歯ぐきと歯槽骨などからなる歯周組織のこと(図表1)。歯の土台が弱ると、噛む力を十分に発揮することが難しくなるばかりか、歯が抜けるリスクが高まるという。固い物を食べるときに、思わず歯をかばってしまうことはないだろうか。50歳以下であっても、それは歯の土台危機の始まりかもしれない。
40代~70代を対象とした「歯の土台に関する実態調査」(※)によると、50代~70代の約3人に1人が、歯を支える力が低下し、歯が抜けてしまうリスクの高い状態(=歯の土台危機層)にあることが明らかになった。
※ライオン「40代~70代の歯の土台に関する実態調査」n=400
各世代の歯の土台危機への現状リスクを判別すると、「現状リスク大」に該当する人の割合は50代から一気に増加し、40代の2倍以上に。50代から歯の土台が弱り始める傾向にあることがわかる(図表2)。
具体的な症状としては、「固いものを食べるときに、思わず歯をかばってしまうことがある」と答えた人の割合は、40代で17.0%なのに対し、50代で33.0%と約2倍に増加している(図表3)。