健康長寿のためには、なにが重要なのか。医師の和田秀樹さんは「口腔ケアに気をつけたほうがいい。歯や歯茎の状態は全身の健康状態に大きく関係する。たとえば残存歯数が少ない人ほど認知症の発症リスクが高いという研究もある」という――。

※本稿は、和田秀樹『シン・老人力』(小学館)の一部を再編集したものです。

「粗食は体にいい」は誤り

年齢を重ねれば食欲も落ちてくるのが普通です。栄養が不足しがちになるので、本来は意識してしっかり食べる必要があります。

それなのに「粗食は体にいい」という誤った“常識”を信じて、低栄養の状態になっている人は少なくありません。

「粗食は体にいい」は誤り(※写真はイメージです)
写真=iStock.com/kuppa_rock
「粗食は体にいい」は誤り(※写真はイメージです)

暴飲暴食は論外ですが、お腹が空いてつらい思いをするとか、好物のステーキを半分に減らすといった我慢をする必要はまったくありません。

歳をとればとるほど、好きなものをがまんせずに食べていいのです。

60代以降は少しぽっちゃりしているほうがいい

私が診療している中にも、60代なのに見た目がすっかり老け込んでしまった「見た目年齢」が高い患者さんがいます。

こうした人は体全体がしぼんだように見え、皮膚にハリがなく、しわが目立つので、一見70代半ばか、それ以上に見えます。

しかし、60代以降なら、おおむね少しぽっちゃりしているほうが肌ツヤもいいし、活動的な印象を与えるものです。

「太るのは不健康だ」と信じ込んで、過剰なダイエットによって低栄養の状態にさらされることのほうが、ずっと不健康です。