健康によかれと思われている習慣は、実は寿命を縮める原因かもしれない。肝腎を健康に維持し、元気に長生きする秘訣を2人の名医が解説する――。
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特別対談 今すぐ改めるべき肝腎との付き合い方

新常識1 肝臓を健康に保つなら甘くない酒を飲む

【栗原】肝臓にはいくつかの働きがあります。そのうちの一つが、アルコールやニコチンといった有害物資の解毒です。たとえばアルコールなら、まず肝臓でアセトアルデヒドという物質に分解され、それを酢酸に変化させてから体外に排出しています。こうした役割を知ると、お酒を飲むたびに肝臓に負担がかかり、次第に肝機能が低下して長生きできなくなると考える人は多いでしょう。

しかし、肝臓を長年診てきた医師として、お酒をいたずらに危険視することには賛成しません。私はむしろ、適量のお酒は体にいいというスタンスを取っています。

【和田】私は肝機能検査項目のAST/GOT(グルタミン酸オキサロ酢酸トランスアミナーゼ)、ALT/GPT(グルタミン酸ピルビン酸トランスアミナーゼ)、γ-GTPの数値はいずれも昔から高いほうでした。

【栗原】健康診断の血液検査で調べる数値ですね。基準値はASTとALTが10~30U(ユニット)/リットル、γ-GTPは男性10~50U/リットル、女性10~30U/リットルとなっています。

【和田】これらの数値は飲酒が原因で上昇すると言われます。しかし、私は一日にワインをボトル半分飲む生活を長年続けていますが、ASTとALTは20~30U/リットル、γ-GTPは60U/リットル程度に下がって勝手に正常化してきた。お酒で肝臓がやられて長生きできなくなるというなら、こうはならないですよね。

【栗原】和田先生の場合は代謝がいいのでしょう。アルコールを分解する酵素は2種類あり、それを持っているかどうかは遺伝で決まりますが、おそらくご両親から2つを受け継いだ。また、アルコール分解酵素のMEOS(ミクロゾーム・エタノール酸化系)は、飲めば飲むほどその数が増えます。お酒に強くなったのは、その影響である可能性があります。

【和田】いや、それが強くなったわけでもないのです。最近では、お酒を飲んでいると眠くなるのが早くなってきました。

【栗原】脂肪肝のせいかもしれませんね。ALTは30U/リットルを少し下回る程度でも脂肪肝予備軍です。脂肪肝があると、アルコール分解力が若干落ちてしまいます。

糖質の摂りすぎで脂肪肝になると糖のコントロールが難しくなり、慢性的な高血糖状態に。悪化するにつれインスリン抵抗性が発生して膵臓が疲弊し、糖の脂肪変換が加速。やがて、糖尿病に至ります。私の推定では日本人の3人に1人、約4000万人が脂肪肝です。脂肪肝は動脈硬化のリスクを高めるなど、万病のもとです。

しかし、お酒が脂肪肝に与える影響はたいしたことがありません。特にγ-GTPの値はお酒と関連付けられがちですが、実際には糖質の摂りすぎで上がることのほうが多い。むしろ適量の飲酒なら、肝臓がアルコールを分解する際に肝臓内の糖が消費され、それによって中性脂肪が減少する効果を期待できます。