東京社説は「英ワクチン承認 安全性の確認を慎重に」
東京新聞は朝日社説よりも3日早く、12月7日付の社説で「英ワクチン承認 安全性の確認を慎重に」との見出しを立てた社説を掲載している。
その書きぶりはワクチンを礼賛する朝日社説とは違う。東京社説は日本のワクチン政策についてこう解説する。
「日本政府は、6千万人分の供給を受けることでファイザー社と合意している。今月2日には新型コロナのワクチンの費用を国が全額負担する改正予防接種法が成立した。早ければ年度内にも承認、接種が始まる可能性がある」
「ファイザー社は日本で160人を対象に初期段階の治験を実施している。数万人を対象に最終段階の治験を行うが、欧米に比べ感染者が少なく、十分なデータが集まらない場合、海外の治験結果と合わせ承認申請する方針という」
日本はワクチンの供給を受け、接種を待つばかりの状況ではあるが、問題の副反応への対応はどうなのか。
東京社説は書く。
「厚生労働省は本格的な接種を始める前に、医療従事者ら約1万人を対象として接種後、健康状態を報告してもらう安全調査を実施する予定だが、副作用への不安はぬぐえない。来年に延期された東京五輪開催をにらみ、ワクチン承認に前のめりになりがちだが、英米などの先行例を十分分析し、有効性や安全性を慎重に見極めたい」
その通りだ。日本は英米などの先行例を十分分析してからでも遅くないはずだ。
世界中で多くの人がワクチンを肯定的に捉えているが…
ところで、スイスでダボス会議を主催する非営利財団の「世界経済フォーラム」などが10月に日本やアメリカなど計15カ国1万8000人に対し、新型コロナワクチンについての意識調査を行ったところ、ワクチン接種に「同意する」と答えた人は15カ国の平均で73%、「同意しない」とした人は27%だった。世界の多くの人々がワクチンを肯定的に捉えている。
ワクチン接種に同意すると答えた人の国別の割合ではインドが87%で、これに中国85%、イギリス79%、日本69%、アメリカ64%、フランス54%だった。
同意しない理由として34%の人が「副反応への懸念」を挙げていた。副反応に対する不安解消は、欠かせない大きな課題である。