英国では2人が、接種直後に「アナフィラキシー」に
注目すべきニュースがある。英メディアによると、12月8日、高齢者らとともに接種したNHS(国民保健サービス)のスタッフ2人が、接種の直後に「アナフィラキシー」と呼ばれる激しいアレルギー反応を示したという。2人は過去にも強いアレルギー反応が出たことがあり、症状を抑える注射薬を所持していた。2人は手当てを受けて回復した。
イギリスの規制当局は「臨床試験(治験)ではアナフィラキシーなどは出なかった」としながらも、医療関係者にこれまでにワクチンや薬、食物でアナフィラキシー症状が出たことがある人には、「ワクチンを投与しない」と一時的な勧告を出した。
なお、ここでは人体の抗原抗体反応を利用するワクチンには「副反応」、ワクチン以外の薬剤には「副作用」という表現を用いる。
ウイルス自体が大きく変異すると、ワクチンの効き目はなくなる
ファイザーとビオンテックが共同で開発した今回のワクチンは世界各国で臨床試験が実施され、「95%の有効性が見られた」との結果が示される一方で、副反応として倦怠感、頭痛、局所の腫れ、筋肉痛、関節痛などがみられた。臨床試験と違い、今後、接種が進むと世界で何十億人がワクチンの投与を受けることになり、その過程でこれまで見えなかった副反応が出るかもしれない。
新型コロナとウイルス構造がほぼ同じSARS(サーズ)のワクチンは、マウスへの投与で重い副反応が現れて失敗した。それにウイルス自体が大きく変異してしまうと、ワクチンの効き目はなくなる。このためコロナウイルスのワクチン製造は難しいとされてきた。
日本では過去には麻疹、おたふく風邪、風疹の三種混合のMMRワクチンで重度の副反応を引きこした失敗例がある。近年では子宮頸がんワクチンで一部の接種者に重い副反応が出たことから、厚生労働省の「積極的推奨」が中断されたままになっている。
子宮頸がんワクチンは、筋肉に届くように垂直に針を深く刺す筋肉内注射の痛みから神経障害などが出るとの見解もある。今回の新型コロナワクチンも同じ筋肉内注射で投与されるため、厚生労働省は同様の障害を懸念している。