楽観視が進む市場

ダウ工業株30種平均が11月25日に史上初めて終値で3万ドルを超え、3万46.24ドルで引けた。また、ナスダック総合指数も25日に終値ベースでの史上最高値を更新。さらに、中小型株のラッセル2000も史上最高値を更新している。

ハイテク株、グロース株、バリュー株が上がっている状態であり、投資家も積極的に株式に資金を投入している様子がうかがえる。新型コロナ感染拡大の中でも株価が上昇している背景には、主要国の財政出動と低金利政策、および資産買い入れが背景にあることは衆目の一致するところであろう。

欧州では新型コロナウイルスの感染第2波が襲い、再びロックダウン(都市封鎖)が実施されるなど、感染拡大の抑制のための政策が導入されている。

ウイルスは世界経済をひっくり返した
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将来の経済への影響が懸念されるが、それでも株価が上昇しているのは、最近の市場の関心を集めている新型コロナのワクチン開発の進展があるといえる。これを材料に、投資家の楽観度が強まっているようである。

「米国株買い」に方針を転じた機関投資家

2019年以降、機関投資家は米国株を売却し、欧州株を買い続けてきたことはあまり知られていない。

その背景には、ポートフォリオにおける米国株の比率が他の株式市場に比べて相対的に上昇したことがある。そのため米国株を売却し、比率が低下した欧州株を買うことを繰り返してきた。四半期ベースでは、19年以降は米国株を売り越し、欧州株は買い越しになっている。

しかし、ワクチンに関する報道を背景に、機関投資家はリスク選好を強め、これまで売却してきた米国株を買い始めている。バンク・オブ・アメリカ(BofA)の調査によると、機関投資家は11月18日までの週に270億ドルを株式ファンドに振り向けたもようである。