金を売却して株式購入に走る構図
目先は「ワクチン相場」で、投資家がやや舞い上がっている状況であり、それが株価を押し上げている。そして、資産のリスクヘッジ先としてこれまで保有していた「金を売却」してまで、株式の購入に走っている。
このようなことがあると、おおむね株価は調整し、金が買われることになる。
市場は学習しないようである。これはリーマン・ショックの際やコロナ危機でもそうだった。それ以外にも頻繁に起きる5%から10%程度の株価の調整場面でも、同じようなことが起きている。それでも、投資家は株価の上昇に焦りを感じ、金を売却してまで株式を購入し、そして株価の調整に見舞われる。
株価の大幅な下落を前に、「やっぱり金を買っておけばよかった」と毎回思うことになるのだが、それでも学習しない。それが市場であり、投資家行動なのであろう。
目先の株価上昇に踊らされず、現金・金も保有しておくべき
拙著『金を買え 米国株バブル経済終わりの始まり』(プレジデント社)で詳しく解説しているが、これからは株式一辺倒になるのではなく、「株式・金・現金の3分割投資法」をしっかりと実行するべきである。
実行できていれば、今後も起きると考えられる一定の株価の調整局面でも何も問題なく対処することができる。
金は換金性が高いため、いつでも売ることができる。現在のようにゼロ金利の状況下では、金は現金とほぼ同じである。そして、現金を保有しておけば、下落場面で安い株式を買い増すことができるのである。この点を忘れてはならない。
実際に現金の代わりに金を保有しているヘッジファンドもいると聞く。金はやはり重要な投資先であり、保有しておくべき資産である。いまの株価上昇に踊らされ、高値で買いついてしまうと、最終的に悲惨な結末を迎えるだけである。