日経平均株価が29年ぶりの高値をつけた。アメリカの株式市場も史上最高値を更新している。この「好景気」はいつまで続くのか。モルガン銀行(現・JPモルガン・チェース銀行)元日本代表の藤巻健史氏は「今の世界的な株価上昇は、資産効果によって起こる『将来の好景気』を反映した動きだろう。しかし、能天気に買い進んではいけない」という——。
東京の日経平均株価の終値を示すディスプレイの前を歩く歩行者=2020年11月11日
写真=EPA/時事通信フォト
東京の日経平均株価の終値を示すディスプレイの前を歩く歩行者=2020年11月11日

世界的に株価が上昇している理由

コロナ禍により大きく下げた世界の株価は急速に回復し、NYダウは史上最高値、日本株も29年ぶりの高値を付けた。同様に金や、デジタルゴールドと言われる暗号資産のビットコインも激しく値を上げている。

これは、ひとえに世界中の中央銀行が、多寡の差はあれ、国債を買い取り世の中にお金をばらまいているからだろう(厳密に言うと、中央銀行が預かっている当座預金残高を急増させている)。

「中央銀行が国債を買い取り世の中にお金をばらまく」ことは、「ハイパーインフレ」を起こした経験から、世界中で禁止されていた財政ファイナンスそのものだ。ハイパーインフレになる、ならないは別にしても、法定通貨の価値が下落していく(=インフレ)のは道理だ。それを理解した投資家が、これらの資産に資金を流し込んでいるのだろう。

「現在の経済実態にそぐわない」との論調が見受けられるが、「現在の経済実態」にはそぐわなくても、「ジャブジャブ資金供給」という金融政策には沿った動きである。