名目GDPが大きく伸びれば、国民1人あたりの収入や税収も大きく増え、企業価値もおおいに上昇するだろう。ところが、日本はその経済規模がほとんど拡大しないのだから、個別の企業価値を表す株価の上昇も無理なのだ。
お金ジャブジャブ政策による世界的株価上昇に伴って、日本株も当面、上昇を継続する可能性はある。私は、今後の円安ドル高を予想しているが、もし、その予想が当たれば、想定以上の上昇を示すかもしれない。
ただ、日本経済が世界ダントツのビリ成長を継続する限り他国株価の動きに見劣りしたままの状態が続くだろう。
日本の世界ダントツのビリ成長の原因は、いつも書くように、日本が社会主義的な経済運営をしているからで、真の資本主義国家へと変わらない限り日本株の大化けは無理である。
強い国のリスク資産を買え
人が生きていくには自分自身が働くか、お金に働いてもらうしかない。低成長国家で働いても給料が上がる可能性は低い。ならばお金には、強い国で働いてもらわねば日本人は豊かになれない。
私はこの30年近く、「強い国のリスク資産」である米株と米不動産の購入をお勧めし、自らもそれらに投資してきた。為替は予想に反して29年前の134円から105円と22%も下落してしまったが、株価が9.3倍なのだから円貨では8.2倍にもなっている。
日本株に投資していれば、やっと29年前の投資額が戻ってきただけなのだから、米株や米不動産への投資は、はるかに好成績だったはずだ。もっとも、私自身は、この数年の米株急騰の前に米国株をすべて売却してしまった。残念であり、悔しい限りだ。
なぜ米株から早く降りてしまったのか? の理由は、後半に詳しく書く。「米株はまだまだ上がると思う。しかし買うのなら、いつでも降りられる状態で、こわごわと買ってくださいね」と講演会等でお話している理由でもある。
いま、株を能天気に買い進んではいけない
財政ファイナンスをおこなえば、お金がじゃぶじゃぶとなり、株価が上昇するのは、当たり前と言えば当たり前だ。しかし、そんなおいしい話がいつまでも続くはずがない。それが日本株はもちろん米国株からも、私が、かなり早めに降りてしまった理由だ。歴史が教える財政ファイナンスの結末への恐怖が理由なのだ。
日銀は、2013年から、実質財政ファイナンスである異次元緩和を始めた。これは財政破綻を先送りする手段でもあった。そのツケが日銀の財務内容の悪化としてあらわれてきた。
最終的には日銀を廃止、新しい中央銀行を作るしか出口はないところまで追いやられたと私は思うのだ。それが日本のXデーである。
日本でXデーが起これば、さすがに米国株も大きく下押しすると思う。たとえ、今の日本が昔ほど世界経済に対して影響力が無くなっている、としてもだ。衰退しているとはいえ、世界第3位のGDP大国の大混乱は米国株にも影響する。