LGBTなどのセクシャルマイノリティに対する差別や偏見などについて報道されることが増えている一方で、まだまだ「うちの職場には関係ない」と考えている人が多いことも事実。セクシャルマイノリティに関連するハラスメント行為が法的に「してはいけない」ことになりつつある中、「よくある勘違い」について、LGBT関連の法律や労働環境に詳しい神谷悠一さんと松岡宗嗣さんが解説します。
※本稿は神谷悠一、松岡宗嗣『LGBTとハラスメント』(集英社新書)の一部を再編集したものです。
「うちの職場にLGBTはいない」と思い込む人たち
最近、インターネットのモニター調査などで、LGBT等のセクシュアルマイノリティが回答者の8%だった、10%だったなどの結果が出て、報道を賑わすことがあります。一方、大阪市で実施された(無作為抽出の)調査では、「性的マイノリティ」が3.3%との結果が出ています(「決めたくない・決めていない」の回答と合わせると8.2%)。
調査対象や調査方法等によって結果はまちまちですが、いずれにせよ、社会には一定の割合で「セクシュアルマイノリティ」と呼ばれる人が存在していることは事実です。
にもかかわらずよく聞かれるのが、「うちの職場にはLGBTはいないから」という言葉です。「うちにはLGBTと呼ばれる人はいないので」を枕詞に、「LGBTについて考える必要はない」「LGBT施策は関係ない」、ひと昔前には、「日本にLGBTという人たちはいない。あれは外国の話だから関係ない」などと言われることもありました。