一番よくないのは、朝食を取らないこと

管理栄養士の望月理恵子氏は“朝カレー”を勧める。

「一日の始まりである朝は、その後に活動量が上がっていくため、カレーのように油分があってカロリーが高いものを食べても太りにくい。スパイスも入っているので昼にかけて体温が上昇する手助けにもなりますし、野菜も加わってバランスが整います」

ただし塩分を処理する腎臓は、朝よりも夜活発に働くため、高血圧症の人は朝カレーを控えたほうがいいという。

そのように塩分を控えめにしたほうがいい人は、朝はツナサンドを。ツナ缶は主にマグロやカツオなどの魚から製造され、その魚油には脳や血管に対する老化防止力があり、心疾患のリスクを低下させるオメガ3系脂肪酸が豊富に含まれる。この吸収率は朝が高いというのだ。早稲田大学先進理工学部の柴田重信教授はこう話す。

「朝食と夕食に魚油を摂取した場合でどちらが血中濃度が上がるかを比較したところ、朝でした。魚油に含まれるさまざまな効能を、朝に摂取したほうがより強く得られるということです」

一番よくないのは、朝食を取らないこと。これは体に朝の時間を教えないことである。

少し専門的な話になるが、人の体の中のあらゆる細胞には「時計遺伝子」が存在することがわかっている。日中に活動状態となり、夜は自然に眠くなるような1日周期のリズムをつかさどっている。時計遺伝子が中心となり、昼夜に合わせて体温やホルモン分泌など体内環境を変化させる機能を「体内時計」と総称する。

体内時計は放っておくと徐々にずれていく。地球の自転による1日は24時間だが、人間の体内時計はほぼ24時間10分の周期でリズムを刻んでいるためだ。毎日のリセットが欠かせないが、朝に日光を浴びたり、朝食を取ることで体内時計の“ズレ”が直る。一方で光を浴びるのと、朝食を取る時間がバラバラだと、体内リズムの足並みが揃わなくなってしまうのだ。

「例えば朝6時に起きて光だけ浴びて、昼の12時まで何も食べないとすると、体内リズムにズレが生じてしまいます。何時が朝であってもいい、朝食べるから朝食というわけではありません。前日から12時間程度の長い食事の空白があり、光を浴びて食事を取ると、体が『朝だ!』と認識する。1週間の中で、同じ時間に『光と朝食』をセットに生活した日が増えるほど正しいリズムが刻めるようになります」(柴田教授)