河野太郎行政改革担当大臣が、霞が関の働き方改革に力を入れている。霞が関の労働状況はどうなっているのか。元厚生労働省キャリア官僚の千正康裕氏が解説する——。
残業
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霞が関の働き方はどうなっているのか

河野太郎行革担当大臣は就任会見で、「霞が関のブラックな状態をホワイト化する」と表明した。それ以来、霞が関の働き方に関する報道もかなり増えていると思うが、まだまだ一般にはなじみの薄い世界ではないだろうか。

私は、昨年9月末に厚労省を19年目で退職し、それ以来、自ら起業してコンサルティングなどの仕事をする傍ら、霞が関の働き方改革を実現しなければ日本の政策機能が壊れるとの思いから、メディアでの発信や政府や国会議員への働きかけなどをしている。9月末には、河野大臣とも直接意見交換もさせていただいた。環境省の働き方改革の有識者会議の委員として直接改革に関わる機会もいただいている。

霞が関のブラックな実態と、霞が関の働き方改革が国民にとってどういう意味があるのか、お伝えしたい。

半数近くが「年間1000時間以上」の残業をしていた

1.霞が関のブラックな実態

長時間労働

人事院が公式に発表している国家公務員の残業時間は月平均30時間程度だ。それほど多いと感じないかもしれない。しかし、これは実態を全く反映していない。国家公務員の残業手当は、予算で最初から部署ごとに総額が決められているので、支給される残業手当の範囲を超える残業はなかったことにされているからだ。

官僚の働き方改革を求める国民の会が2019年に1000人の官僚、元官僚を対象にしたアンケートでは、42.3%が年間1000時間を超える残業をしていた。いわゆる過労死ライン(年間960時間)を超える長時間労働が4割を軽く上回っている。こちらの方が、私の実感に近い。

河野大臣は、このブラックボックスになっている官僚の長時間労働の実態を明らかにするために、各省庁の10月、11月の在庁時間の調査を指示したところなので、12月にはその結果が公表されるだろう。