期待値が低すぎる、それでも……

同じように、2019年の年末ジャンボ宝くじの期待値を計算してみましょう。

1等から7等のほかに年末ラッキー賞まで加えても、宝くじを1口300円買った時の期待値は150円です。300円を入れると、平均150円が返ってくるツボのようなものだと思ってください。たまにバグって7億が出てきて、でも大半は何も返ってきません。

そう聞くと、宝くじを買うのはものすごく損だと分かると思います。もちろん「当たり」が出れば十分に元が取れる可能性もあるのですが、くじの大半は「当選しない」ので期待値がこんなに低いのです。

「わんにゃんスクラッチ」にしても同様に計算してみたところ、1口200円を買ったときの期待値は90円でした。200円を入れると平均90円が返ってくるツボなのです。

【図表2】2019年「年末ジャンボ宝くじ」の期待値と「わんにゃんスクラッチ」の期待値
『人は悪魔に熱狂する』

年末ジャンボ宝くじの期待値は50%あったのに対して、「わんにゃんスクラッチ」の期待値は45%しかありません。かわいい名前のくせに、なかなかえぐい商売だと思います。ただ、こうして期待値がわかったからといって、筆者がスクラッチを買うことをやめるかといえば、その予定はありません。

当たらなくてもスクラッチを買うのを止めない

なぜかといえば、当たりが出るか外れが出るか、削る瞬間のあのドキドキ・ワクワク感を味わうためにスクラッチを購入しているからです。

「お金をドブに捨てている」「期待値が元手を下回っている」という批判は的外れなのです。高額当選を目的にスクラッチを買っているのではなく、ドキドキ・ワクワクを求めて買っているので、当たりが出なくても目的は達しているのです。

それゆえ筆者は「わんにゃんスクラッチ」の購入について十分な費用対効果があると感じています。スクラッチを買う以外に、2000円を支払うことでドキドキ・ワクワク感を味合わせてくれる代替サービスがほかにあるでしょうか。

テレビ番組「10万円でできるかな」の人気を見るかぎり、筆者と同じようにドキドキ・ワクワク感を味わいたい人がたくさんいるのは間違いありません。テレビを見るぶんには自分の懐が痛まないので、より気軽に楽しめるのでしょう。

「2度あることは3度ある」というバイアス

2020年1月13日に放映された「10万円でできるかな」の企画「年末ジャンボ宝くじ買ったらいくら当たるかな!?」は高額当選が連発し大いに盛り上がりました。

「Kis-My-Ft2」の他、「サンドウィッチマン」「EXIT」「メイプル超合金」「四千頭身」が出演しました。計16人が1人10万円で年末ジャンボ宝くじ・年末ジャンボミニをそれぞれ333枚ずつ買ったのですが、高額当選が連発した結果、16人中5人が10万円以上のリターンを獲得しました。