ただ「レアケース」ではあっても確率的に考えれば「起こる可能性はある」ケースですので、「番組側が手心を加えない限り決して起こらない」ケースではありません。ゆえに「レア」であることを理由に「番組のやらせ」と言うのはかなり無理があります。

確率の無視が人間の本質だ

なぜこのような「決めつけ」が起きてしまうかといえば、要するに「レアではあれども一定の確率で起きる」事例の確率を無視してしまっているからだと考えられます。

松本健太郎『人は悪魔に熱狂する 悪と欲望の行動経済学』(毎日新聞出版)
松本健太郎『人は悪魔に熱狂する 悪と欲望の行動経済学』(毎日新聞出版)

人間の思考の傾向として、確率を無視して判断してしまいがちなのです。ギャンブルをする人や宝くじを買う人に向かって「どうせ当たらないのに買うのはバカだ」「確率を計算できないのか」という批判がなされることがよくあります。

その批判自体が間違っているとまでは言えないのですが、実は一面的な見方でしかなく、まだまだ人間を分かっていないとも筆者は思います。

「西銀座チャンスセンター」に行列をつくる人に向かって「あなたは確率に弱い」といって批判しても、それはいってみれば「地球は丸いですね」と言っているようなもので、事実を繰り返しているに過ぎず、あまり意味はないと考えます。

また、そういって批判している側もやはりどこかで確率を無視した行動をとっていたりするものではないでしょうか。むしろ確率に弱いのは人間の本質だと「洞察」できれば、その心理をうまく利用するような「悪魔的な方法」を考えられると思います。「宝くじ」が今にいたるまで売れ続けているのも、またスマホゲームなどで「ガチャ」が大流行したのも、そのような「洞察」の結果ではないでしょうか。

とはいえ、ある程度は確率論を理解しておかないと、確率で人を騙すような商売に引っかかってしまうかもしれません。そうした商売に引っかかるスリルもまたワクワク・ドキドキの一環だと言われれば、それもまた人間らしさなのかもしれませんが……。

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