アフターコロナの経済で一番のキーワードは「デジタル」だ。25年前のWindowsの誕生から世界のデジタル化を進めたマイクロソフト創業者ビル・ゲイツ氏と現社長が、コロナ後の世界的課題を語った。

コロナ危機は戦争級のインパクト

世界がパンデミックに見舞われている今、私たちはさまざまな選択を迫られている。特に大きな選択は、誰もが真の意味でテクノロジーに手が届く未来にしたいかどうかだ。

マイクロソフトプレジデント兼最高遵法責任者(CLO)。ブラッド・スミス氏
マイクロソフトプレジデント兼最高遵法責任者(CLO)。ブラッド・スミス氏

日本でも米国でも欧州でも同じだが、今晩から電気や水道、電話が使えなくなると言われたらあわてふためくだろう。だが、今この瞬間も世界では多くの人々がインターネット、特にブロードバンドのインターネットにアクセスできない環境で暮らしている。ブロードバンドの設備が整っていても、それを使うためのコンピュータやスマートフォンを用意できない人々もいる。

今はテクノロジーの時代と言われるが、現実には基本的なデジタル技術の恩恵にあずかれない人々が少なくない。こういう技術を確実に利用できなければ、在宅勤務や在宅授業は成り立たないことがコロナ禍で嫌というほどわかった。こんな格差を打破しようと前に踏み出せるかどうか。その意味で2020年は時代の分水嶺となるはずだ。