地域の安定をはかる動きに、中国が反発するのは筋違い

今回の日本、アメリカ、オーストラリア、インドの4カ国会議については新聞の社説はどうみているのか。

たとえば、10月8日付の朝日新聞の社説は「米中対立が激化するなか、この枠組みを米国の覇権争いの道具としてはならない」と書き出す。見出しは「日米豪印会合 覇権争いの具とするな」である。

朝日社説は指摘する。

「この枠組みは、台頭する中国を意識し、安倍前首相が第1次政権の時に提唱し、第2次政権で本格的に取り組んできた」
「豪印両国はこれまで、中国との関係に配慮し、ときに慎重姿勢を示してきた。ここにきて連携強化に応じ、外相会談の定例化にも合意したのは、中国の度重なる強引な行動への危機感からだろう。南シナ海や東シナ海での海洋進出などを受けて、地域の安定をはかろうとする動きに、中国が反発するとすれば筋違いだ」

斜に構える傾向のある朝日社説も、真っすぐにものをいうときがある。中国への危機感。まったくその通りだと、沙鴎一歩は思う。

朝日社説の主張はなんとも小難しい「机上の空論」だ

しかし、読み進めてがっかりさせられた。朝日社説は書く。

「とはいえ、参加国の間にも、なお考え方に差異がある」
「米国のポンペオ国務長官は会談で『4カ国が連携し、国民を中国共産党の腐敗や搾取、威圧から守る重要性は増している』と強調した。11月の大統領選を前に中国に対抗する強硬姿勢をアピールし、対中包囲網につなげる狙いをあらわにした」
「だが、米国の同盟国であるとともに、経済では中国との関係も深い日豪にとって、米中の確執は好ましくない。『非同盟』の伝統をもつインドはなおさらで、中国ともバランスをとる外交を続けるだろう」

国家にはそれぞれ固有の立場がある。それゆえ、条約や会談によって立場を越えて協力し合い、均等に利益を分け合う。韓国についてはすでに前述したが、対中外交ひとつとっても国によって異なる。朝日社説は当然のことを複雑に指摘しているだけなのである。

最後に朝日社説は主張する。

「既存の秩序に挑む中国の行動を抑えつつ、時間をかけて変化を促し、協調による共存をはかるほかない。米政府には、多国間の安全保障の枠組みに発展させたい考えもあるようだが、地域の緊張と分断を深める恐れがある。軍事とは切り離し、外交的な協力関係とすべきだ」
「法の支配や人権の尊重といった普遍的な価値を、この地域に根付かせることが重要だ。日米豪印の各国も、それにもとる振る舞いをするようでは、連携を呼びかけても説得力を欠くことになるだろう」

現実離れした主張だ。なんとも小難しく、そしておもしろくもない社説である。こういうのを「机上の空論」というのだ。

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