日本からも最近注文があった

現在のMLBでは、試合中にライナー打球を受けて頭蓋骨を骨折し、手術を受けた経験を持つマット・シューメイカー(ブルージェイズ)ら9人が使用しているが、田中が今季を通じてSST社のプロテクターを装着するとアメリカで報じられて以降、彼が所属するヤンキースでは数人の投手が導入を決め、さらにロイヤルズの投手からもオーダーがあったという。

そしてプロ球界からの引き合いは、MLBだけにとどまらない。

「田中投手の古巣である楽天ゴールデンイーグルスからも問い合わせがあり、つい先日サンプル品を送ったところなんですよ。彼らと当社とはここ数年、非常に良い関係を築けています」

NPBでも、田中と同じプロテクターを使用する投手が現れるかもしれないということだ。

いや、プロ・アマ問わず、その気になれば日本のどんなカテゴリー、どんなレベルのピッチャーでも導入することができるのである。

「当社の公式サイトから注文していただければ、世界中どこへでも発送可能です。一番最近注文があった国は、ほかならぬ日本ですよ」

参考までに、田中も使用している成人向けの『プロX ヘッドガード・フォー・ピッチャーズ』で、単価は89.95ドル。左右の側頭部を守る少年向けの『プロスペクト ヘッドガードセット・フォー・ユース‐12U』は、2個1セットで99.95ドルだ。

5名という少人数の所帯が強みに

こうした製品は、初号市販モデルから数えて3世代目に当たる。しかし最終形というわけではなく、最新の素材と製造技術を用いたバージョンアップを常に模索している。

「可能な限り高い品質のプロテクターを提供するためには、迅速、柔軟に動ける組織であらねば。我々は今も少人数の所帯ですが、逆にそのことを強みにできると信じています」

製造を外注している腕利き職人をのぞけば、SST社の構成人数は現在、CEOのマイヤー氏を含めて計5名だという。

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