各国が「金」を買っているという事実

金が人気化している背景には、心理面や富裕層の購入などを挙げてきましたが、構造的な変化があるのも事実です。

また、『金を買え 米国株バブル経済終わりの始まり』(プレジデント社)の著者であるコモディティ市場の専門家である江守哲氏は、金市場における構造的な変化について言及しています。「インドなどが金を購入し続けている政府が金を買っている。金は2010年ごろから中国、ロシア、インドなどの政府や中央銀行の公的機関が購入を続けています。日銀は、日本経済を活性化させるためにETF(上場投資信託)の買いをしていますが、金も同じようなもの」だと述べています。

つまり、公的機関が買い続けることで、金は売却されにくく、値段が下がりにくい傾向があります。採掘の点からも生産量は一定です。この構造は今後も続きますので、金は利益確定などを繰り返しながら、底堅く推移する可能性が高いのです。

「金」は米国債と表裏一体

基軸通貨であるドルは言うまでもなく、圧倒的な信頼のある通貨であり、その実力はまだ健在だと言えるでしょう。これから、デジタル通貨や人民元通貨など、ドルを脅かす存在が台頭すれば、話は変わってきますが、金利がほとんどなくなった通貨とっても、ドル決済の世界で世界中の人間が生活をしている事実は、変わっていません。

米国債といった安全資産の利回りが最低の水準にとどまっていることで利益が出ない投資家が、一部の資産を金利が付かない金に振り分け、資産上昇を狙ったものだと言えます。

米国債の利回りが高ければ、最も信頼できる通貨に基づいている米国債を投資先として購入したいのは、機関投資家や富裕層も同じです。「安心」で「リターン」も確保できる米国債の金利が少しでも戻ってきた場合は、投資家はこぞって米国債を買う動きになると考えられます。

構造的にも安定してきている金へ投資は、「1つの資産の振り分け先だ」という考え方になるでしょう。