「ゴクゴク飲み」の3つのコツ

ゴクゴク飲みのコツは、

①グラスは細いものか長いものを使う(ジョッキやコリンズグラスなど)
②グラスの角度を大きく傾けることのできる量を入れる
③グラスのカーブを生かす

の3つ。細いグラスから勢いよく一直線に、舌から喉元めがけて流れ込ませます。海外ではビール1本に専用のグラスが1つ用意されていることもあります。そのビールの特徴をグラスで最大限に生かそうと設計されているのです。

ゴクゴク飲みのコツ

しかし、このゴクゴク飲み、苦味を感じないために、ついつい飲みすぎてしまうので、気をつけたいところです。

ビールは「のどごし」という方も多いかと思います。実は我々は軟口蓋なんこうがいや喉にも味蕾が存在し、味を感じることができているのです。付近の部位を意識し、感じようとすると確かに味がしていることがわかると思います。普段は意識していないかもしれませんが、この喉からの味の情報も取り入れることでより奥深いテイスティングが可能となってきます。

舌以外の味蕾の分布

おつまみに唐揚げやぎょうざが多いのは理にかなっている

髙橋貴洋『「うまい!」の科学』(イースト新書)
髙橋貴洋『「うまい!」の科学』(イースト新書)

苦味をコントロールする方法はまだあります。ビールのおつまみを想像してみてください。唐揚げやぎょうざ、フィッシュアンドチップス……結構しょっぱいものや脂っこいものが多いですね。塩味を代表する化合物の塩化ナトリウムのナトリウムイオンは苦味を抑制する効果があります。よく、野菜を塩でゆでるのは、下味をつけるためだけでなく、苦味の抑制も狙っているのです。現在では、品種改良が進み、野菜の苦味を感じることはあまりありませんが……。

油脂は舌をコーティングするため、苦味物質が舌に直接触れにくくなります。さらに、苦味物質はどちらかというと油脂に溶け込みやすく、これも苦味抑制の効果があります。

注ぎ方や飲み方、グラスを変えたり温度を変えたり、おつまみを変えたり……一つの銘柄に絞ってもさまざまな味わいパターンを堪能できます。そしてビールはつくり方によって100種以上にも分類されます。もうビール好きになってしまったら最後、底なし沼にはまったような体験が待っているのです。でも、泥酔しての苦い酒にはくれぐれも注意しましょう。

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