同じ年齢なのに、若々しい人と一気に老け込んでしまう人の差は何か。米国シンシナティ大学医学部教授の佐々木敦朗さんは「肌の健康を左右するのは外側からのケアだけではない。食事の間隔を見直し、体を休ませる時間をつくることが大切だ」という――。(第3回)

※本稿は、佐々木敦朗『3日で変わる からだが目覚める「食べない力」』(講談社)の一部を再編集したものです。

若い女性と老いた女性の顔の組み合わせ
写真=iStock.com/Yuri_Arcurs
※写真はイメージです

「食べない時間」が老化を防ぐ

いつまでも若々しく元気でいたいというのは、万人の願いでしょう。私自身も「年齢よりも若く見られたい」と思うことがあります。

見た目の若さを左右する要素の一つは、肌のツヤやハリといった「皮膚年齢」です。では、ファスティングには肌がよりみずみずしく若返る効果があるか?――その問いに対する私の答えは「イエス」です。

食べ過ぎは老化を招きます。この逆に「食べない時間をつくること」は老化を防ぎ、若さを保つことにつながります。ただし、老化防止に関するヒトでの長期・大規模試験はまだ多くないため、現時点で言える範囲には限りがあることを最初にお伝えしておきます。

食べ過ぎ
写真=iStock.com/seb_ra
※写真はイメージです

空腹時やファスティング中には、損傷したタンパク質や小器官を細胞が分解・再利用する、「リサイクル機構(オートファジー)」が活性化することが知られています。オートファジーは皮膚細胞の新陳代謝にも重要で、古くなった細胞成分を片付ける働きがあります。ファスティングは肌の質感に良い影響が期待できるのです(※1)

※1:Eckhart L, Tschachler E, Gruber F. Autophagic Control of Skin Aging. Front Cell Dev Biol. 2019 Jul 30;7:143. doi: 10.3389/fcell.2019.00143. PMID: 31417903; PMCID: PMC6682604.
Maloh J, Wei M, Hsu WC, Caputo S, Afzal N, Sivamani RK. The Effects of a Fasting Mimicking Diet on Skin Hydration, Skin Texture, and Skin Assessment: A Randomized Controlled Trial. J Clin Med. 2023 Feb 21;12(5):1710. doi: 10.3390/jcm12051710. PMID: 36902498; PMCID: PMC10003066.

24時間断食で成長ホルモンが5倍上がる

鍵のひとつは成長ホルモンです。成長ホルモンは脳の下垂体前葉から分泌されるホルモンで、IGF-1(インスリン様成長因子)というホルモンを介して皮膚のコラーゲン合成や水分を保つヒアルロン酸の産生を後押しします。「美容ホルモン」「若返りホルモン」とも称されます。この働きが肌の弾力(ハリ)と保水(みずみずしさ)の土台を支えるのです。

成長ホルモンは入眠後間もない“深い眠り”で分泌が高まることが知られています。高血糖でインスリンが高い状態では成長ホルモンが出にくく、空腹時に増えるグレリンというホルモンには成長ホルモンの分泌を促します。「何を食べるか」だけでなく「食べない時間をつくること」が、成長ホルモンが出やすい環境をつくるためには大切だと言えます。

実際、2日間の絶食で24時間当たりの成長ホルモン産生量が約4倍に増えたという報告や、24時間断食で平均約5倍に上がったという報告があります(※2)

※2:Hartman, M.L., et al. (1996). Pulsatile growth hormone secretion in older persons is enhanced by fasting without relationship to sleep stages. The Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism, 81(7), 2694-2701. PMID: 8675598
Hollstein, T., et al. (2022). Effects of short-term fasting on Ghrelin/GH/IGF-1 axis in healthy humans. The Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism, 107(9), e3769-e3780. PMID: 35678263

空腹時のホルモン環境を踏まえると、例えば「週に1〜2回」や「月に数日(周期的に)」といった形で“食べない時間”を定期的に取り入れることで、血糖値やインスリンの働きや血圧などの代謝に関わる指標が改善した報告があります(※3)

※3:Wei, M., Brandhorst, S., Shelehchi, M., et al. (2017). Fasting-mimicking diet and markers/risk factors for aging, diabetes, cancer, and cardiovascular disease. Science Translational Medicine, 9(377), eaai8700. PMID:
Brandhorst, S., Levine, M.E., Wei, M., et al. (2024). Fasting-mimicking diet causes hepatic and blood markers changes indicating reduced biological age and disease risk. Nature Communications, 15(1), 1309. PMID: 38378685