不安定な韓国と安定した台湾にある決定的な差

現在、韓国の政治・経済の先行き不透明感が増している。米中の通商摩擦激化やコロナショックの発生はその大きな要因だ。一方で、韓国と同様に中国を中心に輸出依存度が高い台湾の景気は相対的に落ち着きつつある。コロナショックへの対応に関しても、台湾政府は若手人材の新しい発想を柔軟に活用し、社会心理の安定につなげた。

2020年7月14日、中国・上海のサムスンの店舗の前を通り過ぎる人。WHOは、ウイルスの起源をたどるため、疫学者と動物病の専門家の派遣
写真=EPA/時事通信フォト
2020年7月14日、中国・上海のサムスンの店舗の前を通り過ぎる人。WHOは、ウイルスの起源をたどるため、疫学者と動物病の専門家の派遣

韓国と台湾の差はどこから来たのだろう。国のリーダーの政策運営姿勢の違いは決定的だ。国家の安定にとって安全保障は最重要課題である。

韓国も台湾も安全保障を米国に依存している。韓国の文在ムンジェイン大統領は、経済は中国、安全保障は米国、外交は北朝鮮と使い分けているように見える。ただ、そうしたスタンスからは本来の意味での相互信頼は生まれてこない。

今後、韓国が米中対立の先鋭化に対応できず、経済の停滞懸念が高まる可能性は軽視できない。米国は韓国に中国から距離をとるよう求めている。経済面で中国を重視する文政権の政策はこれまで以上に難しい運営が必要になるだろう。韓国社会と経済の閉塞感は高まることが懸念される。