#FindVanessa「バネッサを探して」――

最近SNSで表題のハッシュタグをよく見かける。バネッサさんは2020年4月22日、所属していた米テキサス州の米軍基地内から姿を消した。そんな中、ゲイリー・ノーリングさんはSNSで彼女の捜索を呼びかける投稿を発信し続けている。ゲイリーさんは何か手がかりをつかむため、世界に訴えているが、なぜゲイリーさんは娘でもないバネッサさんを探すのか。

バネッサさんの「尋ね人」のチラシや、ネットにあがる彼女の似顔絵。
バネッサさんの「尋ね人」のチラシや、ネットにあがる彼女の似顔絵(2020年6月、筆者撮影)。

私がゲイリーさんに出会ったきっかけは世界報道写真展だった。

写真の中の彼は、ギターやベッドが置いてある、ごく普通の部屋に立っていた。その部屋はもう2度と帰ってこない娘のキャリーさんの部屋だった。

キャリーさんは働いていた米軍基地内で性暴力を受け、被害を上部に報告したが、懲戒除隊を受け、実家に戻された。ゲイリーさんは娘が休暇で久しぶりに家に戻ってくるのだと喜んでバス停に迎えにいったという。それから数日後、彼女は自死した。後に遺品の中から日記が見つかり「お父さんには言うべきだったのに、どうしても話せなかった」と基地内での惨劇が記されていた。

そしてその事件の加害者が2年前にも同じような事件を起こしていたことも、後からわかった。しかしそのときも、娘の事件でも、罪に問われることはなかった。