お線香配って辞職した小野寺議員が不憫でならない

昨年10月の「文春砲」炸裂後、雲隠れ状態にあった菅原氏は6月16日に突如記者会見を開いて「一部、公選法に触れる事案があった」と認め、謝罪していた。この会見後まもなく不起訴処分が発表され、その理由に「謝罪」があることを重ねてみると「なに、それ……」と感じてしまう。ツイッター上にはハッシュタグ「#菅原前経産相の不起訴に抗議します」「#菅原前大臣ごめんで済んだら検察いらない」が現れ、「事前にアドバイスを受けていたのでは?」「本人が違法性を認識しているのになぜ不起訴?」などのコメントが相次いだ。

ちなみに、「影の総理」といわれる菅義偉官房長官の側近でもある菅原氏は離党や議員辞職をする考えはないそうだが、同じ自民党の小野寺五典元防衛相は初当選からまもない1997年、支援者の弔問に行った際に線香を配ったことが公選法の「寄付行為」にあたるとして書類送検され、議員辞職したことも付記しておきたい。菅原氏の不起訴処分を受けて、寺田学衆議院議員は6月25日のツイッターで「お線香配って辞職した小野寺議員が不憫でならない」と皮肉っている。

現代における「上級国民」は何を意味する?

「ちょ、待って!」と驚いたことは以前にもあった。2019年4月、東京・豊島区で旧通商産業省工業技術院の元院長が運転する乗用車が次々と歩行者らをはね、母子2人の命を奪い、8人が重軽傷を負った悲惨な事故が起きた。約7カ月後、当時87歳の元院長は自動車運転処罰法違反容疑で書類送検されたが、重大事故を起こしても逮捕されなかったことにインターネット上では「なぜ?」「高級官僚だった『上級国民』だから?」との見方も相次いだ。この件については、逃亡や証拠隠滅の恐れがないことなどが理由とされたようだが、腑に落ちなかったことだろう。

で、上級国民って何? この言葉は2015年にもネット上にも現れている。来年夏に開催が延期となった東京五輪のエンブレムをめぐり、デザインの著作権侵害疑惑が浮上。ベルギーの劇場ロゴと酷似していると指摘された際、大会組織委員会の武藤敏郎事務総長(元財務事務次官)が「組織委としては『模倣ではない』との専門家の説明がある以上、そう理解していたが、『一般国民』からは分かりにくいということは一致した見解だった」と説明した時だ。

上から目線で「自分たち=上級国民」「それ以外=下級・一般国民」と分けるような表現を不快に思った人は多かっただろう。

ネット上で炎上した結果、「上級国民」という言葉は2015年と2019年の新語・流行語大賞の候補にノミネートされている。明確な定義は定かではないが、「上級国民」とはかつてのように「上流階級にある者」というよりは「権力者とその周辺」「高い地位にある者・あった者」がイメージに近く、多くは国民の素朴な疑問とともに政治家や高級官僚らに向けられているようだ。