30年間失われ続けてきた日本経済。それに追い打ちをかけるかの如く現れた新型コロナウイルス。この未曾有の危機に際して「小規模事業者に補助金を出す必要はない」と語るのはデービッド・アトキンソン氏だ。コロナが終わる日に向けて、日本は企業体質を変えるべきだと語る。

日本に蔓延る「中小企業神話」

このままだと日本は途上国に没落するかもしれません。

小西美術工藝社社長 デービッド・アトキンソン氏
小西美術工藝社社長 デービッド・アトキンソン氏

みなさんは日本の生産性がどれくらい低いか知っていますか。国の生産性はGDPを総人口で割った数字ですが、為替レートの影響が出にくい購買力調整済みの数字で国際比較すると、日本は世界第28位(2019年)(IMF World Economic Outlook Databases)。残念ながら、先進国の中で最低クラスです。

日本は生産性が低いと聞いて、「大企業は社内調整のムダな会議ばかりで、さもありなん」と考える人もいるでしょう。たしかに大企業にムダは山ほどあるかもしれません。

ただ、そのことを生産性が世界第28位という結果に結びつけるのはズレています。日本の企業数358万社(16年)のうち、大企業は1万1000社のみ。構成比で言えば0.3%にすぎません。従業員数で見ても、全体の31.2%です。企業数で見ても従業員数で見ても、大企業は少数派にすぎず、全体に与える影響はけっして大きくないのです。