優先順位の判断は必ず自分でする

<strong>日本マクドナルド 原田泳幸社長</strong>●1948年、長崎県生まれ。東海大学工学部卒業後、日本NCRなどを経て、90年アップルコンピュータ・ジャパン入社。97年同社の日本法人社長に就任。2004年日本マクドナルドHDに副会長兼社長兼CEOとして入社。05年から同社の会長兼社長兼CEOに。
日本マクドナルド 原田泳幸社長●1948年、長崎県生まれ。東海大学工学部卒業後、日本NCRなどを経て、90年アップルコンピュータ・ジャパン入社。97年同社の日本法人社長に就任。2004年日本マクドナルドHDに副会長兼社長兼CEOとして入社。05年から同社の会長兼社長兼CEOに。

時間管理は手帳の使い方よりも、無駄な予定を入れないことにつきますね。とくに、当社は午後6時以降の残業は禁止。社長も例外ではないので、余計なことをやっている暇はありません。たとえば、何の準備もできていないのにとりあえず集まることが目的となっている定例ミーティングや、すでに決まっていることを確認するような会議。こういう予定は絶対に入れないようにしています。

ただし、秘書には、ミーティングの申し入れがあったらそれがどんな内容でも、またスケジュールの空き状況にかかわらず、「検討して1日以内に返事をします」と伝えるよう指示を出しています。なぜなら、そのミーティングの重要度やプライオリティーの判断は、私にしかできないからです。基本的には会社の売り上げやコミュニケーション、それから人材育成に関するものは優先順位を高く設定していますが、なかにはエレベーターのなかの立ち話ですんでしまうものもあれば、別の人間に任せても問題ないものもあるので、テーマで機械的に優先順位をつけることはできないのです。

それから、メールに時間をとられないように、返事はほとんど「了解」「OK」のひと言ですませます。逆に、社員が私にメールするときは、私が知らなければならないことだけを一行にまとめて書くというルールになっています。

こうして、無駄は排除しますが、どんなに忙しくても必ず1日2時間の空白時間をつくります。経営者としての判断を誤らないためには、ひとりになって仕事の中身を一つひとつ検証したり、整理したりする時間が不可欠だからです。といっても、社長室でじっと目をつぶって思索に耽るようなことはあまりなく、たいていは会社のなかをぶらぶら歩いたり、店舗でコーヒーを飲んだりしながら、いろいろなことに想いを巡らしています。

浮かんだアイデアは、覚えるのでメモ帳は要りません。書くと安心して忘れてしまうでしょう。それだと、メモ帳を失くしたらそれで終わりではないですか。だったら気合を入れて記憶したほうがよっぽど安心できます。たとえど忘れしても、意味のあるアイデアなら、いざというときには必ず思い出せるものです。

また常にブラックベリーを携帯していますが、これはメールの送受信専用で、手帳としては使っていませんし、使う予定もいまのところありません。そもそも私は手帳を持ち歩く習慣がないのです。スケジュールは秘書が手書きでつくったものを、朝と夕に必要なところだけコピーしてもらって確認しています。

午後6時以降の残業禁止は私が決めました。仕事が人生のすべてのような考え方は健全ではないからです。

だいたい、社員が長時間労働に耐えることで製品のコスト競争力を上げるというのは、戦後の復興期の政策です。これからの日本企業はインテレクチュアル・プロパティー(知的財産)やクリエーティビティーで差別化を図っていかなければなりません。労働時間を延ばすというのは明らかに時代に逆行しています。

そうはいっても反発はありました。それまで毎月100時間も残業してようやくこなしていた量を、6時までに終わらせられるはずがないというわけです。

(山口雅之=構成 佐粧俊之=撮影)

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