すぐするすぐ済む
時間の積み重ねを大切にする一方、多忙な身で時間をどう有効に使うかに関し、私の哲学は「すぐする。すぐ済む」です。
「課題が目の前に立ちふさがる」という言葉がありますが、私に言わせれば、課題が見つかったらもうしめたもの。糸口を見つけて取り組めば、解決に繋がるはずだからです。だから、すぐ動けばいいのです。
仮に成績不振の支店なら、展示場で単にお客様を待っているだけでなく、担当地域の市場分析や競合分析を、自分でさっさと進めればいい。例えば大企業の工場を抱える地域なら、その従業員について分析する。また、その地域に強い競合住宅メーカーはどこで、そこより自社の優れた点は何かを分析する。そこから解決への糸口が見つかるはずです。
わが社には「2時間ルール」というものもあります。工場での事故、台風や地震によるお客様の住宅の被災、コンプライアンスに反する事態の発生……マイナス情報は必ず2時間以内に社長に直接入る態勢になっています。何か起きたとき、大切なのは初期動作です。放置せずに、すぐ動く。すぐ動けば、すぐ済む。だからお客様相手の24時間相談受け付け態勢も、わが社が業界で初めてつくりました。お客様相談室長は社長直轄で、全権限を持って問題に対応しています。
これらは換言すれば集中ということ。しかし、私は「集中」は「のめり込む」のとは異なると考えています。集中するときは一気に集中するが、ずるずるとのめり込まずに「切り替え」も必要です。
一日の中でも、自分で時間を意識的に切り替える工夫をします。重要な会議はなるべく頭が冴えている午前中にセットしてもらう。夜はほとんど仕事絡みの会食なので、午後4~6時の間はなるべく自分の勉強時間として確保する。週に一度は、その時間帯を会社近くのスポーツジムで汗を流すのに充てています。そうして大切な会合に臨んだほうが、頭も冴えて話もうまく進む。こうした割り切りは大切です。
土曜・日曜のどちらかを休日にするのも前述のとおり。その日は朝から自分で料理です。材料を徹底的に揃えて、こだわりながら調理します。若い頃の経験もあって料理をするのは大好き。アメリカ駐在時代、アラスカなどで木材の買い付けをしていたときは、山の中でキャンプしながら自分で食事をつくっていました。
その時代に体験した現場回りという時間の積み重ねは、自分を育てるうえで貴重な土壌となりました。「神は現場に宿る」という中坊公平さん(元弁護士)の言葉通り、現場は生きているから本当に面白い。展示場という現場も同様です。
ワークライフバランスに関しては、社員にも「時間の使い方を工夫して、家族との時間を大事にしなさい」と日頃から言っています。営業マンの休みは火曜と水曜。たとえば、毎週水曜の午前中を、家庭について夫婦で集中的に話し合う時間と決めておけばいい。これも集中と切り替えです。その積み重ねがいい家庭づくりにも結びついていくでしょう。