本が刊行されたのは1975年。第一次大戦で大敗を喫し、巨額の賠償金を課せられたドイツ=ワイマール共和国が、マルク紙幣を際限なく印刷し続けたことで23年、実に1兆倍というハイパーインフレーションを招き、それがいかに国内を荒廃させたかを、当時の日記や外交文書、同時代人の証言をもとに克明に追っている。近年、新興国を中心に世界経済でインフレ懸念が再燃しており、本書の復刊は時節に適っていよう。

「1杯5000マルクのコーヒーが、飲み終わる頃には8000マルクになっていた」というハイパーインフレによる大混乱は凄まじいばかりだ。