「息子をもらって…」。私に子どもを差し出した、アフリカの母
「息子をもらってくれないか?」
アフリカ・シエラレオネの首都フリータウンの病院で初めて2歳のアドデュダイに会ったのは彼がICUにいるとき。心配そうに息子を見守る母のカディアツはこれまでに7人の子どもを失ってきた。アドデュダイは8人目の子どもで7カ月の妹がいる。
村には病院がなく、これまでは子どもが病気にかかるたびに、地元で昔から伝わるハーブなどを使った伝統的な方法で治療したが、子どもたちが元気になることはなかった。周りからは母カディアツには悪魔がとりついていると言われ、夫はアドデュダイの容態が悪くなったのを見て家を出て行った。見かねた隣人が病院に行くため首都に連れ出した。子どもを病院に連れて行くのは初めてだった。