同じく生活インフラのコンビニは各社マイナス

今年3月は、多くの小売りや外食にとって厳しい月となった。百貨店各社の売り上げは軒並み落ち込んでいて、三越伊勢丹HDの国内百貨店既存店売上高が33.4%減となるなど大幅減が相次いでいる。外食も総じて厳しく、ファミリーレストラン「ガスト」などを展開するすかいらーくHDの既存店売上高は23.9%減となった。もちろんこれは一例にすぎず、大幅減の事業者が大半だ。

一方、ドラッグストアは生活必需品を扱う「生活インフラ」の役目を担っていることもあり、基本的には臨時休業せずに営業を続けたため、好調に推移している。生活インフラという意味ではコンビニエンスストアも同じだが、ドラッグストアはマスクや除菌剤といった新型コロナ関連の商品がコンビニよりも一般的に充実しているため、3月の売り上げの伸び方はドラッグストア業界のほうが良好だ。コンビニ大手3社の3月の既存店売上高はセブン-イレブン・ジャパンが3.2%減、ファミリーマートが7.6%減、ローソンが5.2%減と軒並み大幅マイナスとなっている。

マツキヨは例外的に大幅マイナスに転じた

もっとも、ドラッグストア大手すべてが好調というわけではない。マツモトキヨシHDは3月の既存店売上高が10.6%減だった。2月(8%増)の大幅増から一転、大幅マイナスに転じている。

理由の詳細は発表されていないが、新型コロナの感染拡大を受けて実施した時短営業の影響を受けたほか、同社はほかの大手チェーンと比べて都市部に店舗が多いことが影響したためと推測できる。外出自粛とテレワークの広がりで、繁華街やビジネス街から人が消えたことが影響したのだろう。また、訪日外国人(インバウンド)が減ったことも響いたと考えられる。さらに、化粧品が強い同社では、化粧をせずに自宅で過ごす人が増えたことも影響したと考えられる。

ただ、マツキヨのような例外はあるにせよ、多くのドラッグストア事業者は業績が上がっている。生活インフラとなりうる小売り業態といえば、以前はコンビニが唯一無二と言っていい存在だった。特に2011年の東日本大震災の際には迅速な復旧を果たし、日常生活に必要な食料や水、生活必需品を地域住民に供給して圧倒的な存在感を示していた。

一方でこの時はドラッグストアはコンビニほど存在感を示していなかった。だが、震災から9年がたち、この間にドラッグストア業界は拡大してきた。市場規模は18年度に7兆円を突破し、コンビニに迫る勢いだ。