この1年間、資金対策に追われない状態をつくる

景気下降局面の際に、やらなくてはならないことはいっぱいあるが社長がバタバタ焦ったり迷ったりすることが一番のリスクになる。

だからこそ、この1年間、資金対策のことを社長の頭の中から外せる状態にしておくことが、一番大事なのである。資金繰り対策に追われ、渦中に巻き込まれると冷静な判断、決断を下せなくなるからだ。

作間信司『一倉定の社長学』(プレジデント社)
作間信司『一倉定の社長学』(プレジデント社)

資金に、一発逆転ホームランは絶対ない。「有事には、売上規模でもなく、利益でもない。事業の継続を支える『資金の確保』」の1点に目標を絞り、全体を挙げて取り組むことが社長の使命である」と、一倉先生も語っていた。会社の継続が全てに優先するのである。

いまからでも遅くはない。やってないことがあればトライしてみてほしい。金融機関に出さなくてはならないのは、今後の売上利益計画、バランスシートの計画、経営計画の基本中の基本を添付して出すことである。

できたら、多少作文にはなってしまうが、コロナ後の景気回復時の業績見通しと銀行への返済計画を、ドリームプランでなく手堅く立ててシュミレーションした中期計画があれば心強い。

まずは、今、手元に現預金がいくらあるのか、1年間の固定費はいくらか、すぐ確認して安心できる状態を整えることから始めよう。まずは、安心を買うことである。

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