5000社を超える企業を指導し、「社長の教祖」とも呼ばれた伝説のコンサルタント・一倉定氏。現在、新型コロナウイルスの影響で、経営に行き詰まる企業が増えている。もし一倉氏が生きていればどう指導したか。愛弟子の作間信司氏が、一倉氏の言葉を紹介する——。

※本稿は、作間信司『一倉定の社長学』(プレジデント社)の一部を再編集したものです。

お金のトラブルについて考える人
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経営者を悩ませるコロナウイルス

新型コロナウイルスの感染拡大により、4月7日に、安倍総理から「非常事態宣言」が出された。終息の気配が見えてこない中、営業自粛、接触70~80%削減要請で、中小企業、大手企業を問わず、会社経営においても極めて厳しい局面を迎えている。

こういう局面になると、売上の激減による手持ち現預金の急激な減少から、私たちはどうしてもコストカット、経費削減、さらには閉店まで考えてしまう。当然、会社は利益を出さなくてはいけないが、業種によっては利益より会社の存続を優先しなくてはいけない場合も圧倒的に多くなる。そのために資金支出のカットを考える。しかし一律的な経費削減、コストカットによって、製品の品質が落ちて、あるいはサービスが低下し、お客様からの信頼を損なうこともある。

この点について、一倉定先生は厳しく指摘されていた。

流石に今回のコロナショックの想定はしていないが、その一端は私が書いた『一倉定の社長学』(プレジデント社)でも触れた。

ここでは語録形式でわかりやすくなっている『一倉定の経営心得』(以下、『経営心得』と略す。日本経営合理化協会刊)から一倉先生の教えを現状に沿って考え、今後の行動指針を考えてみよう。