小池百合子総理、爆誕か
首相が記者会見などで国民にメッセージを発する頻度が少ない一方で、2人は連日のようにメディアを通じて外出自粛や医療体制の状況などを伝えており、その疲労感は誰の目にも明らかだ。ツイッターでは「#百合子がんばれ」「#吉村寝ろ」がトレンド入りして話題になった。
そんな中、首都圏を中心に小池都知事のリーダーシップに注目が集まっているのを背景に、ある自民党関係者は「コロナの終わり方次第では、“小池百合子総理”が現実になるかもしれない」と危機感を募らせる。2017年の衆議院選挙で希望の党代表として大敗した小池都知事は当時、(女性の活躍を阻む)「ガラスの天井」よりも厚くて硬いであろう「鉄の天井を知った」などと発言。女性初の総理大臣への野望はこれまで、常に持ってきた。
さて、小池都知事と吉村府知事は、世論調査で8割が求めていた国の緊急事態宣言を政府が速やかに出すよう要請し、小池都知事は特措法に基づく施設の使用制限の要請に難色を示していた政府に何度も直談し、宣言対象の7都府県知事が休業要請できるよう牽引した。
知事の権限・責任の範囲において国との調整など不要だ
「なぜ小池都知事が違うことをやるのか理解できない」と批判しながら、一転して東京都に足並みをそろえた神奈川県の黒岩祐治知事や、大阪・兵庫間の往来自粛を呼び掛けた吉村府知事に「大阪はいつも大げさ」と不快感を示した兵庫県の井戸敏三知事とは、その「危機感」も「発信力」も雲泥の差がある。
休業要請をめぐっては、政府の対策本部が3月28日付の「基本的対処方針」で、蔓延防止策として都道府県が「地域での感染状況を踏まえて、的確に打ち出す」としていたものの、4月7日に急遽改正。「都道府県は、国に協議の上、必要に応じ専門家の意見も聞きつつ、外出の自粛等の協力の要請の効果を見極めた上で行う」と緊急事態下としては不可解な文言で、自治体の権限を大幅に縛ったことが現場の混乱につながった。
元大阪府知事の橋下徹氏は4月7日、ツイッターを更新し「緊急事態のときほど、各組織の権限・責任の明確化、指揮命令系統の明確化が重要だ。だから法の適用が必要だった。東京都も大阪府も、知事の権限・責任の範囲において国との調整など不要だ。緊急事態なのだから。各々権限と責任の範囲で行動すべきだ」と指摘している。