香港デモの知られざるデジタル攻防戦

「警察が追ってきた! 回り道をして警察をまいてくれ!」。深夜2時の香港。映画のようなカーチェイスが目の前で繰り広げられていた。まだあどけなさの残る21歳の若者の身に、なぜこんな大変なことが起きているのか――。

香港のデモ参加者は身バレ防止にマスクをつけるが、逮捕者が相次いでいるという。
香港のデモ参加者は身バレ防止にマスクをつけるが、逮捕者が相次いでいるという。

2019年3月から続く「逃亡犯条例改正」への反対に端を発した香港のデモ。“中国化”に反対する抗議運動に発展し、人口700万人の香港で200万人(主催者発表)もが集い、中学生から大学生まで若者たちが声を上げる。その裏でデモ参加者と警察との「デジタル攻防戦」が起きている。

そもそも、ほとんどのデモは違法行為とみなされているため、参加者はマスクやサングラスで顔を隠し、身元の特定を防いでいる。それでもなぜか、逮捕される人が相次ぎ、半年間で6000人を超えている。

理由の1つに、香港当局がデモ参加者をデジタル追跡しているからだといわれる。発端は19年6月11日、通信アプリ「テレグラム」で2万人が参加するチャットグループの管理人が自宅で逮捕された出来事だ。警察が携帯電話をたどって本人を割り出したと報じられている。