こうした短期間での爆発的な盛り上がり方は、かつての「ドラゴンボール」や「ONE PIECE」、「名探偵コナン」などと違い、“お茶の間”が無くなった現在に、配信環境やSNSの口コミ、“バズり”を発端に国民的な認知度を持つアニメが生まれる際のスピード感であり、新しいフォーマットなのかもしれません。
普段マンガやアニメをみない層も含めた1月からの爆発的な盛り上がりは、そろそろ“熱心なファンだけ残っていく”形で徐々に収斂していくことも予想できます。
しかしその一方で、ゲーム化の発表や今月のアニメ一挙放送、10日の劇場版最新情報の特番や5月の最新20巻発売など、盛り上がりを加速させるイベントもまだまだ目白押しです。そうした今後の展開やそのタイミングによっては、未だ本作を知らない人々へもうひと段階のブームの拡大というのもありえるかもしれません。
アジア圏全体や欧米も含めた今後の反応が鍵
ただ国内だけではその広がりにも限界がありますので、そこから更に上述の「ONE PIECE」や「進撃の巨人」、または「ドラゴンボール」や「NARUTO ‐ナルト‐」といった世界的に有名な巨大コンテンツにまでなっていくのかについては、アジア圏全体や欧米も含めた今後の反応が鍵になっていくかと思います。
因みに北米での本作は、今年2月に発表されたクランチロールのアニメアワードにて、アニメオブザイヤーを受賞し、現在は英語の吹替版が好評放送中です。ですがまだあちらの盛り上がりの全貌はみえてきておりませんので、やはりそちらも劇場版を含めた今後の展開への反応次第のように思われます。
いずれにせよ、今回の「鬼滅の刃」現象を通してみえてくる重要な点は、アニメやマンガ好き、恐らく製作サイドでさえ予想もしていなかったほどの潜在的な作品ファンが、今の日本にこれだけ存在しているのが分かったこと、なのではないでしょうか。
これをひとつの“点”で終わらせるのではなく、「鬼滅の刃」関連の話題や製作関係者の関連作品達を起点として、そうした潜在的なファンにアニメやマンガの世界に居続けてもらえる“線”を広く結んでいけたなら、いずれは収斂していくとしても、今回の盛り上がりは今後のアニメやマンガ史に残る重要な出来事にもなり得ると思います。