【④マンガ・アニメを割とみる一般層】

さらにその後、アニメ放送終了頃から年末にかけては、人気が④の一般層にまで拡大し、町中やSNSで、意外な人までが「鬼滅の刃」を話題にし始めるようになりました。

これは③までの層が、趣味のコミュニティ内だけでなく、家族や会社の同僚・上司といった人々にまで本作をすすめ、視聴者・読者層が広がっていったことが要因だと思います。

本作が年齢性別だけでなく、アニメやマンガ好きか否かに関わらず勧めやすいジャンル・内容であったことも、それを後押ししたのでしょう。

「売り切れ続出」「入手困難」の話題が招いたトレンド

また印象的だったのが、特にこの頃からアニメの評判だけでなく、原作関連の話題が急増したことです。

そうして“17巻と小説版が売り切れ続出で入手困難”なことや、“ランキングの殆どを本作が占める現象”が話題になり始め、それらが「今、この作品がトレンド」という指標となったことも、一般の層が興味を持つきっかけとなっていったと思います。(注5)

注5:同時期『オリコン年間コミックランキング 2019』の“作品別ランキング”で「ONE PIECE」を抑えて1位を獲得したというニュースも話題になった(出展:ORICON NEWS)。部門別とはいえ“「ONE PIECE」超え”というパワーワードは一般層に与えるインパクトが強かったのか、本作が取り上げられる際によく使われる一方、「『ONE PIECE』より売れた=累計発行部数を超えた」等の誤解も招きかねないので注意が必要。

通常ならアニメ放送中から放送終了直後のピーク後、徐々に落ち着くはずの原作コミックスの売れ行きがアニメ終了後も右肩上がりで伸び続けたのは、アニメの続きを読みたい視聴者層が原作を買い始めただけでなく、こうしてこの時期以降もファンの母数が増え続けていったことが大きかったようです。

「今この作品を知らないのはやばい」

【⑤普段マンガやアニメをみない層】

一般層にまで広がった本作の人気は、更に年末から年明け以降、⑤の普段マンガやアニメをみない層にまで拡大していきました。

これには年末にかけて、タレント・椿鬼奴氏の「鬼滅の刃」好きが話題になり、加えて12月頃から報道番組などでも「鬼滅」人気の特集が増え、そんな中紅白歌合戦で主題歌が歌われたという流れも大きかったと思います。