極めて短期間での驚異的な伸び率

同じ週刊少年ジャンプの看板作品である「ONE PIECE」は世界累計発行部数が4億6000万部(2020年4月1日現在)を超え、「鬼滅の刃」と同様に最初のアニメ化が社会的なブームのきっかけとなった「進撃の巨人」も、世界累計発行部数は1億を超えています。

では、現在累計発行部数4000万部の「鬼滅の刃」が、それらと比較して一体何が異例なのかというと、それは“極短期間で驚異的な伸び”をみせている点といえるでしょう。

図表1は上記3作の累計発行部数の推移を表したイメージ図となります。(注1)

筆者註1:累計発行部数(公式からの発表やその情報を基に公開された記事等でのみ確認できる数字)を基に、連載開始時点を0として、発表が確認できた時点での発行部数を国内・世界累計混合で作成した大まかなイメージ図。
注1:累計発行部数(公式からの発表やその情報を基に公開された記事等でのみ確認できる数字)を基に、連載開始時点を0として、発表が確認できた時点での発行部数を国内・世界累計混合で作成した大まかなイメージ図。2020年4月1日現在。
 

そもそもの前提としてアニメ化決定時点での既刊数や発行部数、週刊・月刊連載の違い等もありますが、それらを除いたとしても上述通り「ONE PIECE」や「進撃の巨人」とは、まだまだ累計発行部数の規模に差があることがわかります。

しかし発行部数の“伸び率とその期間”に注目してみると、2013年のアニメ化を経て部数を伸ばした「進撃の巨人」でさえ1年半以上を要した1000万から4000万部までの上昇を超える伸びを、「鬼滅の刃」はわずか1年足らずの間にみせているのです。

逆に、アニメ化の時点で「鬼滅の刃」と同じくらいの発行部数であった作品というのも多数ありますが、アニメ化を経て1年半で10倍以上という驚異の伸びをみせた作品は他に思い当たりません。

鬼滅の刃」現象が、単なる盛り上がりではなく、異例の出来事として注目されているのは、「ONE PIECE」や「進撃の巨人」でさえみられなかった、そうした極短期間での驚異的な伸び率も原因であると思います。