マンガ「鬼滅の刃」が短期間で部数を急増させている。アニメコラムニストの小新井涼氏は「コアなファン層から、短期間でマンガやアニメに関心の薄い層にまで波及した。ネットの動画配信環境も充実していたため、SNSでの高評価な口コミを受け、放送開始時点では見逃していた人も次々と加わり、盛り上がりを支え続けている」という――。
アニメ化で火がついた「鬼滅の刃」ブーム
2016年2月から『週刊少年ジャンプ』(集英社)で連載中のマンガ「鬼滅の刃」が、社会現象とも言える驚異的な盛り上がりを見せています。
「鬼滅の刃」は吾峠呼世晴氏の漫画作品です。人食い鬼が住む大正時代の世界を舞台に、鬼に家族を殺された主人公・竈門炭治郎が、鬼にされた妹を人間に戻すため、鬼狩りの組織に入り、仲間と共に元凶である「最初の鬼」に立ち向かう“和風剣戟奇譚”となっています。
本作は、2019年4月のアニメ化をきっかけにブームが起こり、放送開始時に350万部であったコミックスの累計発行部数はわずか1年足らずで4000万部を突破しました。
オリコンの週間コミックランキング(1月27日~2月2日)では1~18巻が1~18位を独占するという史上初の記録を達成し、アニメの放送終了からほぼ半年が過ぎても未だにその勢いは止まりません。
一体この「鬼滅の刃」は何がすごくて、どのようにしてここまでの社会現象となったのでしょうか。異例ともいえるヒットの実態とメカニズムを探っていきます。