疑惑は深まったのに「シロ」のお墨付きを与えた

しかし、結局、代表者をはじめとする関係者から、直接返答を得ることはできなかった。調査は、関係書類などの閲覧という間接的な作業に終始し、通常の海外コンサルタントとの業務契約に比して破格の契約金額が何を意味するのか、といった核心にはまったく近づくことができないまま終わった。コンサル会社の代表者が「雲隠れ」したことなどから、調査によって、疑惑はむしろ深まったとさえ言える。

ここまでなら、「期待外れだった」ですむかもしれない。驚くのは、そこから先だ。そんな未消化の調査結果だったにもかかわらず、調査チームは、「招致委員会関係者」について、「『オリンピック関係者』等への贈与の禁止を含むIOC(国際オリンピック委員会)の規程を十分認識し、また、本件契約の際にも『オリンピック関係者』等への贈与の認識を何ら有していなかった」と、明確な“シロ”認定を下しているのである。

しかし、19年1月、フランス当局が招致に絡む汚職の疑いで竹田氏の訴訟手続きに入った、と同国メディアが報じた。それを受けて会見した竹田氏は、あらためて「不正はなかった」と主張するのだが、その根拠の一つとされているのが、ほかならぬ「日本の法律において契約に違法性はなく、コンサル会社への支払いも適切だった」という、この調査チームの「結論」だった。

やましいことがないなら、なぜ辞任したのか

賢明なる読者は、もうお気づきだろう。この調査チームの主たる目的は、「コンサルタント契約の適切性の検証」以上に、「招致委員会という組織や竹田氏個人には、何ら問題がなかった」というお墨付きを与えるところにあったのではないか。少なくとも予断なく、子細に報告書を読む限り、そう結論付けるのが自然だろう。

ただ、そんな努力も空しく、釈明会見後も批判にさらされた竹田氏は、19年3月にJOC会長の退任とIOC委員の辞任を表明した。事実が調査チームの認定通りで、自らになんらやましいところがないのならば、先頭に立って開催にこぎつけた晴れの舞台を目前にして職を辞するというのは、腑に落ちない。誰もがそう感じたのではないだろうか。この調査チームには、オブザーバーにJOCの常務理事という「身内」が含まれていたりと、他にも問題山積だった。

過去に数多くつくられてきた第三者委員会の中で、このJOCの調査チームが、とりわけ「異質」で「例外的」なものなのかといえば、それは違う。第三者委員会は、もはや多くの人が漠然と抱くであろうイメージ、すなわち不祥事を起こした企業や団体が、外部の専門家などに委嘱して設置し、問題の真相究明、責任の所在の明確化などを図る――とは、かけ離れた存在になっているのが実態なのだ。

では、その「実態」とは、どういうものか?