国は「事業承継」をすすめたがっている

以下、事業承継・M&Aサービスを手掛けるスクエアワン株式会社の代表であり、同時に司法書士・行政書士・社会保険労務士事務所を経営する石川和司さんのお話です。

昨今、企業の廃業数が増加しており、ここに私は問題意識を持っています。そして、この問題に対して、事業承継を使って、廃業になりそうな企業を誰か別の人が承継することが1つの答えになるのではないかと考えています。

政策金融公庫と話をしていると、事業承継で資金調達をするお手伝いは積極的にやりたいと考えているそうです。新しく起業するのではなく事業を引き継いで、そこで必要な資金を融資するということを、国も公庫も含めて積極的にやっていきたいという流れがあります。

明らかに廃業件数は多くなっている一方、なかなか新規の起業が増えるような社会・経済の状況でもないとは思います。けれど、そんな状況だからこそ、廃業する人と、起業したい人をマッチングするような信頼できるプラットフォームをつくることができれば、社会的にも意味があるのではないかと考えています。

サラリーマンが買える会社はなかなか見つからない

ただ、現状だと、なかなかこのマッチングは難しい。商工会議所ですとか、事業引継ぎ支援センターですとか、公的な機関はいろいろありますが、こういったところで扱われるのは買い手がたくさんいるような、事業価値の非常に高いものくらいです。それこそ、サラリーマンの人が副業で起業しようというときに、買えるような会社は出てきません。

ウェブサイト上で事業の売り手と買い手をマッチングするサービスはいろいろありますが、これから起業しようという人がいきなり手を出すにはリスクが大きいと感じています。本当にそこに書いてあるだけの事業収益力があるのか、簿外負債はないのか、重要な従業員がやめないのかなど気になることは多々あり、それだけのリスクを負うくらいなら、まっさらな新しい会社をつくるほうがいいんじゃないかと思うのです。