テレビや新聞が「削った部分」こそ見てほしい

テレビは「尺」、新聞は「文字数」に制限があります。国会審議でのやり取りは報道機関によって「編集」されて紹介されます。尺や紙面の都合で要約したり、映像をつないだり、削ったりしたものです。

上西先生
上西教授(写真=菅原雄太)

実際には、無駄に説明が長い答弁や、何を言っているかわからない答弁もありますが、編集では、それをバッサリ削るんですね。でも、本当に重要なのは編集の過程で「削られた部分」にあるんです。

安倍首相や閣僚の答弁も要約されると誠実に答弁しているように聞こえます。ノーカットで聞いてみると、はぐらかしたり論点をすり替えたりすることが多々あるんです。この事実を見逃してはいけません。そんな答弁の繰り返しでは、議論は深まるはずがありません。

——「ご飯論法」のことですね。

そうです。国会PVでは、編集で削られてしまった部分をノーカットで見てもらうことで、リアルな国会審議の様子が可視化されます。私は意図的に論点をずらす政府の答弁姿勢を「ご飯論法」と呼んで批判しましたが、これも安倍政権側の不誠実な答弁姿勢を可視化させるためのツールだと言えます。

選挙は「ドラフト会議」、国会審議は「試合」

——国会をみるなかで新しい発見はありましたか。

国会審議を見ていて、私自身気づいたことがあります。それは「選挙だけじゃないんだ」っていうことですね。

上西 充子『国会をみよう 国会パブリックビューイングの試み』(集英社クリエイティブ)
上西 充子『国会をみよう 国会パブリックビューイングの試み』(集英社クリエイティブ)

テレビや新聞では選挙前には政党や候補者の動きが特集されます。公約や意気込みを有権者に示します。投開票日の夜は、何時間も選挙特番が組まれますよね。当選確実の速報が流れ、当選した人が万歳三唱をする映像がテレビに映し出される。

その後はどうでしょうか。当選した議員たちが何をしているのか、テレビで目にすることってほとんどありませんよね。

選挙って野球の「ドラフト会議」みたいなもので、球団に指名された選手が、実際の試合でどれだけ活躍するかが大切ですよね。ドラフト1位指名で最初は華々しかったけど試合はボロボロ、なんて選手もいる。全然目立たなかったけど試合で好プレーを連発する選手がいるのも事実ですよね。

「試合」を見て良い選手を見極める

——選挙が「ドラフト」とすれば、国会は……。

国会審議は「試合」です。国会議員という選手が、試合の中でどんな活躍を見せてくれるか。そして、立憲頑張っているじゃないか、共産党ってすごいなとか、国民民主も堅実だなとか、なんかそういうのを見て、それでまた次の選挙の判断材料にできるというわけです。

試合は選手が練習の成果を披露できる場です。私たちにとっても試合を見て選手をしっかりと見極めることができる貴重な場だと言えます。

(構成=菅原 雄太)
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